東電への電気代不払いプロジェクトの実態…原発推進を図る東電・政府に抗議
#原発
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東電への電気代不払いプロジェクトの実態…原発推進を図る東電・政府に抗議 – Business Journal(4月3日)
東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故被害が拡大するなかで、世論の多くはいまも原発に反対している。だが、首相官邸前デモをはじめ全国各地で抗議行動が展開され、再稼働反対署名が800万筆近く。さらに最近でも、福島第一原発の冷却水用の電源が一時喪失するほどの事故が起こったが、それでも政府や東京電力はびくともしない。
「それは、どんなに文句を言っても、料金の自動引き落としで料金を払い続け、東電に白紙委任状を渡しているからです。その電気代には、原発推進のための電源開発促進税も上乗せされているのです」
こう語るのは、「電気代不払いプロジェクト」(http://d.hatena.ne.jp/toudenfubarai/)を呼び掛けている画家の大富亮さん(37歳)だ。東日本大震災以後に、コンビニや郵便局で1円少なく払ったり、1円多く払ったり、集金人や東電窓口などで喧々諤々と話し合ってきた大富さんに多くの人が賛同し、サイトを立ち上げて不払いの意義とノウハウを伝えている。
その中間報告的な集会が3月21日に都内で開かれた。記念講演したのは、日本消費者連盟・元代表運営委員の富山洋子さんだ。
富山さんは、第一次石油ショック後の電気料金大幅値上げに反対して、値上げ分不払いではなく「旧料金支払い運動」と命名して仲間とともに行動を開始。1974年以降、値上げや原発に抗議する料金不払いで東電と対峙してきた。
「最初、電力会社は私たちを烏合の衆のように見ていましたが、あちこちで運動が起き、潜在的不払い者がいることを彼らはすごく恐れていました。国家にも資本にも対峙する市民的不服従運動であり、身体感覚として抵抗の底力を体験したのです」
富山さんは、このように過去を振り返った。彼女らの運動では裁判闘争も行うなど、およそ40年間も運動を続け、今の若い世代につなげている。
「当時運動していた人がいま高齢者となり、その一人である私が今の人たちに継承し、生き様を語り伝えたい」
富山さんの言葉を受けて行動する一人が、大富亮さんである。
「東京電力の営業利益の9割が家庭や小規模事業所からの電気代によりますが、大企業からの利益は、わずか1割。つまり大企業への電気は、ほとんど原価で投げ売りと言っていいでしょう。だからこそ一般消費者の力を見せる必要があると思います」
では、どうするか。具体的な方法を大富さんに説明してもらった。
●郵便局ATMでは払込料金を自分で指定できる
「第一ステップは、料金自動引き落としをやめること。電気代領収証に記載されている東電のカスタマーセンターに電話し、自動引き落とし中止を告げ、原発再稼働に反対することを伝えます。
翌月から郵便局・コンビニで払い込むための用紙が届くので、この用紙を使ってギリギリで払います。電気が止まるのは、検針日から50日後。このギリギリの日に郵便局、銀行、コンビニに行って支払うのです」
つまり、自動引き落としは安定的な収入を東電にもたらす源泉であるから、そこにメスを入れようとする考えである。
「原発へ抗議の意味を込めて1円少なく支払うときは、届けられた用紙を持って期限内に郵便局に行き、ATMで支払います。『金額の確認』画面が出るので、『訂正』を押し、1円少ない金額を入力します。
数日後に、東電からあと1円の払込用紙が届くので、さらにその用紙に書かれた期限ギリギリに1円を払ってください。電話や直接の督促があった場合には、原発再稼働に苦情を言えます」
逆に、請求された料金より1円だけ過払いする方法もあるという。
「1円不払いと同じ手はずで郵便局のATMで1円多く入力して払います。数日後に東電から1円の返金について手紙が届くのですが、そこにはa.来月分の電気代に充当、b.お客様の口座に返金、c.直接東電社員が自宅や職場まで持参、からどれかを選ぶように言われます。aかcを選び返信し、cの場合は原発反対の意思を社員に伝えられます」
もっと効率的なのは、赤く印字されている払込用紙(入手希望者はtoudenfubarai@gmail.comへ申し込み)、すなわち加入者(この場合は東電)が手数料120円を支払わなければならないので、1円のために東電は120円支払い、加えて家まで来るとなれば人件費や交通費もかさむ。
なお、この払込用紙はATMでなく窓口で使用可能だ。窓口払いすることによって東電に120円出させるわけである。なお、プロジェクトのブログ・トップページ左の「ビラ」(http://d.hatena.ne.jp/toudenfubarai/files/fubarai_bira.pdf)をクリックし印刷して使用することも可能だが、たまに窓口で拒否されることもあるので、上記のメールアドレス宛てに申し込み、現物を受け取ったほうが確実だという。
ところで、原発に反対したり事故やその後の対応に抗議するために、1円少なくではなく、1円多く支払うことにどのような意味があるのだろうか。
「不払いの場合は、再請求か送電停止のどちらかを東電はやってきます。過払いの場合は、送電停止はできません。一度預かった余分な1円を返すために、内部でかなり複雑な手続きが必要になり、コストもかかるのです。
また、1円の返金を受ける場合は、こちらのペースで決められますし、抗議はしたいし不払いもしたいが電気を止められるのは困る、という方にはおすすめの方法です」
●一揆を起こしたら来年の年貢は上がるのか?
ところで、多くの人が賛同し不払いや支払い延期に参加する人も増えているなかで、このプロジェクトには批判や疑問もあるという。その点を大富さんに聞いてみた。
「1円余計に払うなど嫌がらせ的だと言われることもあります。多いのは、『電気代を払わないと電気を止められるからできない』。あるいは『東電は確かにひどいけど、抗議でコストがかかると電気代に上乗せされてしまう』と言われたこともありました。
でも、その考えは『お代官様は確かにひどいけど、一揆(抗議)をしたために、来年の年貢を上げられてしまう』と言っているに等しいと思います。それに、抗議をやめておとなしくすれば、東電は原発再稼働を中止するのでしょうか」
最後に大富さんは次のように強調した。
「なにはともあれ、自動引き落としの停止が最初の一歩にして最重要だと私は考えているんです。引き落としをやめて自分で支払うと、毎月いくら電気を使っているか正確にわかるし、自然と節電するようになり、電気代も下がっていきます。
自動引き落としを電力会社がすすめているのは、消費者が意識せずに電気を大量に使うことを期待しているからではないですか。不払いするかしないかは別として、すべての人に自動引き落としをやめてほしい。これがいま一番伝えたいことです」
現在、どれだけの不払い(正確には一時不払い)が広がっているかは電力会社のみが知る。ただ、プロジェクトの別のメンバーによると、カスタマーセンターでのやり取りに困っているとか、いろいろ相談のメールや電話が来るようになったので、不払い者は確実に増えているようである。
政府が支える独占企業に消費者や市民がどれだけ対峙できるか。電気代不払いプロジェクトは、現代の百姓一揆のようなものかもしれない。
(文=林克明/ノンフィクションライター)
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