「僕はずーっと自然体」ギャンブル、借金、4度の結婚……でも憎めない、六角精児の生き方
#インタビュー
――独身よりも、結婚を選んできた理由はなんでしょうか?
六角 実は、最初から自分で望んでした結婚って、そんなにないんですよ。10年くらい付き合って、ある時、彼女の実家に連れていかれて、お父さんに「じゃあ結婚するのか!」って言われて、「は、はい」って言ったりとかですね。仕事上の理由で「けじめが欲しい」と言われたり。あるいは子どもができたり。結婚しろと言われた時に、それを拒む理由もなかったので。
――でも結婚すると、責任が増えますよね。男性は特に。
六角 そうなんですよ。それに気付いたのは、随分、後のことでございまして……。
――離婚の原因は、なんだったんですか?
六角 やっぱり僕の経済力のなさと、不誠実さですね。30代の頃も仕事がなかったわけじゃないんですけど、収入をほとんどギャンブルに使ってましたから。最初は個性的な珍獣みたいに思われて結婚したとしても、思い通りにならないわ、どんどん憎たらしくなっていくわで手に負えなくなって、結局、すべて相手の方から離れていきました。どこぞの公園の池に、持て余した飼い主に捨てられるワニみたいなものですよ。
――離婚した時は毎回、落ち込むんですか?
六角 落ち込みますね。「またか……人間としてどうなんだ」って。ただすぐに「あ、でも4度離婚した人、知ってるぞ! あの人、結構ちゃんとした人だし。やっぱ巡り合わせなのかなあ……」とか考えちゃったこともありますけど(笑)。
――現在の奥様とは、1年半前に2度目の結婚をされましたが、離婚へのおびえみたいなものはありますか?
六角 ないですね。お互いに何がダメで別れたか分かってますから。そこを自分なりに努力しようと思ってます。
――そんな紆余曲折を経た六角さんですが、劇団扉座(旧「善人会議」)を旗揚げされてから30年以上がたつそうですね。最近の若い劇団員を見て、思うことはありますか?
六角 自分の世界だけを大切にする人が多くて、「つまんないなあ」と感じることはありますね。若い方は、あまり出会いや経験に対して欲がないのかなって。自分の考えって、自分ではいいと思ってても、ちっぽけなものが多かったりするんですよ。もっと良いことも悪いことも経験して、それから取捨選択してほしいですね。
――「いろんな経験」とは、六角さんが言うと説得力がありますね(笑)。
六角 役者で食べていくのは大変です。よっぽどキレイな人だったり、面白い人だったり、頭がいい人じゃないと、まず無理。んで、キレイな人はどこかですでにスカウトされて事務所に入ったりしてますから、劇団に来るってことは、無意識のうちに審査に漏れている可能性が高い。そのハンデを打破するために、若いうちはもっと積極的に無茶をして、何かをつかんでほしいなって思いますね。
(取材・文=林タモツ)
●ろっかく・せいじ
1962年生まれ。82年の劇団「善人会議」(現「扉座」)旗揚げメンバー。テレビ朝日系ドラマ『相棒』シリーズで人気を博し、09年には、同シリーズの映画『鑑識・米沢守の事件簿』で映画初主演。13年4月から放送のTBS系金曜ドラマ『TAKE FIVE』(毎週金曜22時~)、NHK BSプレミアム『真夜中のパン屋さん』(毎週日曜日22時~)にレギュラー出演、NHK Eテレ『SWITCH インタビュー達人達』でナレーションを務める。近年は、自らボーカル・ギターを担当する「六角精児バンド」でのライブや、エッセイ執筆(『三角でもなく 四角でもなく 六角精児』講談社刊)を行うなど活動の幅を広げている。
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