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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 三陸の底から見た震災と再生

三陸の海が育んだ新しい生命『ダンゴウオ―海の底から見た震災と再生―』

 震災から2年がたち、地上のガレキは撤去され、生活を取り戻しつつある人々も多い。メディアには「復興」という言葉が飛び交っている。しかし、僕が以前取材した福島県に住む被災者は「復興という言葉はピンとこない」と語っていた。ガレキが取り除かれたら復興なのか、建物が元通りになったら復興なのか、それとも避難者がゼロになり仮設住宅が取り壊されれば復興なのか――。メディアが喧伝する「復興」は、時に当事者にとって、まったく実感を得られない空疎な言葉として響いてしまう。

 大地震や津波は自然の力によって引き起こされた。だからこそ、その傷跡を回復するのもまた、自然の力なのではないだろうか。ゆっくりと、静かに変化していく海底の景色を眺めていると、「復興」という言葉が少し実感できるような気がする。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

●かぎい・やすあき
1971年、兵庫県生まれ。オーストラリア、伊豆、モルディブでダイビングガイドを行う傍ら、水中撮影に励む。1998年、モルディブより帰国後、フリーランスとして独立。水中のあらゆる事象を精力的に撮影し、プランクトンからクジラまで、独特の世界観で水中の世界を写し取る。1998年「ミナミセミクジラの海」で第15回アニマ賞受賞(平凡社)、2003年日本写真協会新人賞受賞。

最終更新:2013/04/01 21:00
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