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東京国際アニメフェア2013

【TAF2013】熱いブースにやる気を疑うブースも……「アニメ&キャラクター列島JAPAN」で見えた明暗

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 これはまったく極端な事例ではない。どこの地域でも事情は似たようなものだ。各ブースで話を聞いてみたが「ほとんど手弁当です」と話す出展者が多かった。だが「手弁当でもいいからやる」という意気込みの高い出展者も。

 秋田県のご当地ヒーローである「超神ネイガー」は、まさにそれ。このヒーローは、県内のほとんどの幼稚園、保育園、保育所などを回って「超神ネイガー交通安全教室」を実施しており、秋田県内限定で圧倒的な認知度を誇る。決して大きく儲かる企画ではないが、企画者に話を聞いたところ、主題歌を歌う歌手の水木一郎氏が「ご当地ヒーローは、ネイガーしかやらない」と言ってくれたという話を、うれしそうに語ってくれた。

 マンガやアニメを使った町おこしで重要なのは、この部分に尽きる。観光客がわんさか押しかけて、地域がバブル風味に潤うのなんて、ほんの一握り。多くは、金銭面以外の充実感で成り立っているのだ。ゆえに、マンガやアニメを使った町おこしが、今後もビジネスとして成り立っていくかは、大いに疑問だ。

 さらに、マンガやアニメを使った町おこしには「連載や放送が終わったらどうなるか?」という危惧がつきまとう。元祖「聖地」として知られるJR飯田線の田切駅や伊那市周辺には、確かに今でも『究極超人あ~る』のファンがやってくる。でも、それがビジネスに結びつくかといえば、答えはNOだ。今回の出展者にも、そうした危惧を持つ人は多かった。

 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の聖地である秩父市から出展した、秩父アニメツーリズム実行委員会は「昨年は来訪者数がぐっと減りました。今年は、劇場版がありますけれど……」と話す。また、昨年放映された『神様はじめました』の聖地である川越市の出展者は「アニメの放映が終わったので、どうしようかと……」。

 結局のところ、マンガやアニメを使った町おこしの多くは、作品のブームに乗っかった一過性のものにすぎない。ゆえに、いかにその後を見通すかが大きな課題といえる。

 ブームに乗っかってやってきた人々に地域の魅力を知ってもらい、作品ではなく地域のファンになってもらう方法。地域の特産品を利用して「萌え商品」を売る方法。作品に乗っかるのではなく、独自にコンテンツを開発して地域密着で回していく方法など、やり方はさまざまある。

 いずれにしても、地域に愛着を持ち「手弁当でもやる」という人の存在は欠かせない。自己犠牲的な取り組みには批判があるかもしれないが、行政が大金をつぎ込んで大失敗している地域もあることを考えると、どっちがマシだろうか。
(取材・文=昼間たかし)

最終更新:2013/03/27 18:07
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