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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 謎の独立国家・ソマリランド

海賊国家といわれるソマリアに林立する「国家のようなもの」その実態に迫る!【前編】

Somali1-1.jpg無政府状態にあるソマリアの首都モガディショ市街。

 海賊が頻出し世界の危険地帯のひとつとして知られるソマリアは、アフリカ大陸東部の突端に位置する国家である。1991年に勃発した内戦によって政権が崩壊し無政府状態となっており、今ではどんな状態なのかすらわからない謎のエリアとなってしまった。

 そんな危険地帯に乗り込んだノンフィクション作家の高野秀行氏が『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)を上梓した。

 これまで、幻の怪獣ムベンベや怪魚ウモッカなど数々の未知動物を追い続け、常に冒険へと挑む高野氏に、海賊が跋扈する国家の実態はいかなるものか、そして取材時のエピソードや今後の野望などを伺った。

――そもそも、なぜソマリア(ソマリランド)を目指したのですか?

高野秀行(以下、高野) まず、崩壊していてグシャグシャになっている従来のソマリアの国土内にソマリランドという謎の独立国があり、それが国連の介入を拒否して独自に平和を保っているというのが、すごく不思議だったんです。「そんなものが本当にあるのか? あるとしたら、どうやって成り立っているのか?」そんな疑問が涌き起こってきて、興味を持ったことがきっかけです。

――「ソマリランド」という単語を初めて耳にしたのは、いつ頃ですか?

高野 訪れる1年前の08年頃のことです。この時点で建国から20年近くたっている計算になるのに、ソマリランドのことがまったくわからない。ガセネタかもしれないなと思っていました。

――高野さんといえば秘境探検の代名詞ですし、以前は辺境作家と名乗られていましたよね。出演されたラジオ番組で高野さんが目指す秘境のことを説明するのに「政治的秘境」という言葉を使われていましたが、今回もそれに該当すると思われたのでしょうか?

高野 政治的秘境ですよね。20年間も政府がないと、誰も行けないわけですよ。ソマリア自体がブラックボックスみたいな感じでしょ。実際、当時ニュースで報道されていたのも、海賊がいるとか無政府状態だとかで「ソマリランド」という単語すら出てこないので、日本で調べている段階では全然わからなかった。唯一わかっていたのは、旧ソマリア国内に「ソマリランド」と「プントランド」と「南部ソマリア」が三国志状態で乱立しているらしい、ということぐらいでした。

――高野さんは、アフリカや中東の周辺諸国には何度も行かれていますよね? そこからイメージしたりとかはできなかったんですか?

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