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セブン-イレブンが業者と契約解除でノウハウを横取り!? 原告は「セブンは強奪者」とまで…

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。

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セブン-イレブンが業者と契約解除でノウハウを横取り!? 原告は「セブンは強奪者」とまで… – Business Journal(3月18日)

セブン-イレブンに設置されている
クリーニング機器。

 ニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判のか中にある人々の声を世間に届ける!

 セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン)の都内23区の店舗と、クリーニング・サービスの提携をしていたCK社(仮名)が、一方的に契約を打ち切られた。契約打ち切り後、セブンは、ほかの会社と提携しており、それまで6年間にわたって築いたノウハウを横取りされたCK社が、セブンを相手取り、東京地裁に損害賠償請求等を求める訴訟を起こした。そして今年1月の一審判決で、セブンの一部敗訴判決が下った。マスコミが報じないこの事件の真相を、裁判資料に基づき詳報する。

 原告の戸賀直樹氏(仮名)は、大学卒業後の1960年代後半に西友に入社。80年代後半に、ファミリーマートに転籍し、営業部長、営業企画部長を経て、00年代には、その後の人生を賭けた取り組みとなる「コンビニでのクリーニングサービス」を企画立案し、ファミリーマート社内で試行した。しかし、この事業の拡大には別会社の必要性を感じ、会社に2度提案したが、採用されなかった。そこで戸賀氏は、それを実現するため、長年勤めたファミリーマートを退職したのである(起業はセブンとの契約の後)。

 コンビニでのクリーニング・サービスは、どの会社もことごとく失敗してきた。戸賀氏の10年7月時点での陳述書によると、ローソンは過去20年で何度も失敗。セブンも過去2度失敗。サークルKサンクスでは、クリーニング機器の設置面積が10平方メートル以上とスペースを広く取り過ぎで拡大できていないのだという。

 それに比べて、戸賀氏が考案した機器の面積は、たったの0.9平方メートル。それが売りだった。

 この事業の成功を信じていた戸賀氏は、03年4月に自身の企画をセブン本部の商品雑貨部ECサービス担当であるKというチーフマーチャンダイザーに持ちかけたところ、「コンビニのクリーニングサービスはお客様のニーズが高く、利便性を提供できる。収益性が上がるビジネスモデルにしたい」とK氏は快諾したという。この時期、戸賀氏は、「クリーニング取次仕様提案書」をセブンに提出。担当K氏から「良くできた提案書。ビジネスモデル特許出願は早くした方がいい。『特許出願中』と言えば、社内稟議が通りやすい」と、アドバイスを受け、戸賀氏は特許の取得もしている。

 03年11月14日、K氏は「方針稟議が決済された」と言い、鈴木会長から「全国展開の際、工場のネットワークが組織できるのか?」「日販の目標はどのくらいか?」「失敗を恐れず、積極的にチャレンジすること」と話があったという。

 04年2月16日、株式会社 CKクリーニング(仮名、以下、CK社)を設立。戸賀氏は社長に就任。同年5月4日、セブンと「約定書」を締結。これはCK社がセブンのベンダーとなる契約書だった。

 そしてついに、04年6月21日から、1カ月間に、24店舗でクリーニング取次サービスを開業した。

 戸賀氏の考案したクリーニング取次サービスは評判がよく、開業から3カ月で、目標とする平均日販4000円を超えた。すると翌05年1月6日、セブン本部雑貨部統括マネージャーM氏から「鈴木会長から、300店を都内で展開することの内諾を得たので、今後スピードを上げて実行する。重点商品として育てたい」と言われたという。

 こうして本格展開したクリーニング・サービスだったが、その後は、思い通りにことが運ばなかった。「城東、城北地区はブルーカラーの居住者が多く、クリーニングの利用者が少なく、販売額が低い店舗が発生した」と戸賀氏は振り返っている。

 それは数字にも如実に表れている。取扱店舗数の推移(各年12月時点)は、04年27店、05年81店、06年245店、07年212店、08年212店、09年209店、2010年(4月)204店と、06年をピークに下り坂をたどっている。全国展開はおろか、300店すら達成していない。

 09年12月25日、CK社は、セブン本部から、こう告げられた。

「中央ベンダーには、一部上場会社の伊藤忠食品(株)が51%出資している(株)カジタケで行く。経営財務基盤が盤石で、ノウハウもある。CK社には資金と人がなく、投資、運営は無理」

 また、「CK社は専用ベンダーではないため、いつでも取引停止できる」とも告げたのだという。

 それに対し、戸賀氏は「わかりましたと即刻回答はできない」「ゼロから開発してきたノウハウや7年の実績を評価してもらえないのか?」と反論し、翌年の10年2月4日、「契約終了に伴う、営業補償とライセンス料について協議したい」と申し入れた。

 するとセブン本部からは、「営業補償やライセンス料は存在しないと考えている」と回答を受けた。さらに3月15日、戸賀氏はセブン社長の井坂隆一氏から「契約期間満了のご通知」という書類を受領した。

 こうして契約解除後、セブンは、戸賀氏が企画・立案して意匠登録したバッグや、規約、伝票、マニュアル類、フリーダイヤルシステムなどのサービスをそのまま継続利用していた。

 それについて戸賀氏は「セブンの行いは、開発者であり著作者である弊社及び私を排除し、そのビジネスモデルをコピーして利用する強奪者であり、社会的な企業として許されるべき行為ではありません。(略)弊社を切り捨て、弊社のこれまでの努力とその成果を略奪するに等しい暴挙と言わざるを得ず、断じて許すことができません」とつづっている。

 こうして2010年7月14日、戸賀氏はセブンを相手取り提訴した。訴えの内容は次の通り。

 1 平成22年3月15日付「契約満了のご通知」が無効であることを確認する。

 2 原告が平成17年6月27日締結の契約書に基づく契約上の地位にあることを確認する。

 その後、原告側は、「本件契約は終了しておらず存続する」として、「385,737,675円を支払え」との一文を請求に追加した。

 コレに対し、セブン側は、原告の訴えを否定した。

 こうして審議を重ね、2013年1月21日、ついに一審判決があり、東京地裁民事33部の小林久起裁判長は、「被告は原告に対し、2592万1572円を支払え」「原告のその余の請求をいずれも棄却する」との判決を下した。

 判決文では、原告が当初提案した収入計画に比べ、実際の店舗数は伸び悩んでいた点に言及。契約終了までの6年間の累計も6995万円の赤字で、構造的な不採算事業になっていたとも指摘し、セブン本部は、自由な判断により、契約を終わらせることができる、と結論付けた。

 しかし、同時に、契約書には、「クリーニング取次サービス」について、原告と被告が共同開発したものである、と契約書にうたっていることに言及し、こう述べている。

「本契約が終了した場合、被告は、契約期間中におけるその仕組みの確立、発展の成果を基に、更に発展させてその果実を享受することができる。これに対して、コンビニ店舗を自らの支配下におけない原告は、一から出直しとなることが避けられない。共同開発の仕組みでありながら、その仕組みを生かす不可欠の前提であるコンビニ店舗に対する支配的な地位において、契約当事者間に格差があるために、契約終了後における過去の成果の配分に著しい不平等が生じるときは民法248条が(略)物の所有権を失ったことによって損失を受けた者が、これにより所有権を取得した者に対して、(略)不当利得返還請求の規定に従い償金を請求することができる(略)あるいは、(略)相手方に不利な時期に委任の解任をしたときは、その当事者の一方は相手方の損害を賠償しなければならないと定めている趣旨などに照らして(略)被告は共同開発してきた仕組みを使い続けることによって受ける利益の範囲内において、契約が更新されずに終了することによる原告の損失を補償する義務があると解するのが相当である」

 こうして、契約終了に伴う原告の損失の補償として2592万1572円の償金を支払うよう命じた。この判決に対し、原告、被告とも、主張の通らなかった点を控訴している。

 この判決について、原告側はノーコメント。一方、セブンに対して以下のように質問した。

 「クリーニングサービス事業は、直近の数字で、どのエリアに何店舗で行っているのでしょうか?」

 「一審判決に対する、御社の見解をお聞かせ願います」

 すると、セブンからこういう回答がきた。

 「クリーニング取次サービスについて→現在、東京都23区内の約200店舗で実施しています。」

 「弊社の見解について→一審判決は、当社からの契約の終了を正当なものと認めました。しかしながら、本件クリーニング取次サービスのノウハウについては、もとより当社が有していたノウハウであるにもかかわらず、当社に原告に対する損失補償金の支払いを命じたため、当社はこれを不服として控訴をしました。現在、本件については控訴審で係争中です」

 回答は以上だった。

 控訴審の行方にも注目したいが、一審で下された判例は、とくに独自の企画、アイデアで大企業と取引をしている中小零細企業や個人事業主、セブンのクリーニング・サービスのユーザー、そして、セブンのほかの商品の消費者も心に留めておいた方がよさそうだ。
(文=佐々木奎一/ジャーナリスト)

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最終更新:2013/03/19 07:00
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