元・名物編集長がアベノミクスの大本営発表に苦言「週刊誌よ、権力を疑え!」
#出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
注目記事には入らなかったが、気になった記事を紹介しよう。
廣瀬直己東電社長が文春に登場して、池上彰の「誌上喚問」に答えている。池上が「文春は原発事故以来、厳しく東電の責任を追及してきた雑誌なのに、よく応じましたね」とやや驚いているように、登場させたことは“快挙”である。
廣瀬は「確かにだいぶお叱りを受けているという認識はございました。しかし、私どもの立場ではどんな媒体でも我々の考えをお話しできるのであればありがたいことだと考えています」と答えているが、額面通りには受け取れない。
文春、池上彰というブランド。それに付け加えれば、池上ならさほど厳しいことは聞くまいという計算があったのではないか。それとも、なんらかの取引があったのか。
予想通り、内容は通り一遍で、さして新しいことはないし、激しく斬り込んでいない。
強いてあげればこういうところか。
「池上 ただ、例えば敦賀原発のように日本原電が調査して活断層ではないとした場所が、別の学者が見たら一目瞭然で『活断層だ』と判定されてしまうと、そもそも今までの調査が非常に電力会社にとって都合のいい、いい加減なものだったと思いますね。
廣瀬 そういう批判を受けるのも仕方ないかもしれませんね」
終始、廣瀬社長は第三者のような口ぶりである。旧東電トップたちの刑事責任にも言及してほしかったね。
現代にも気になる記事がある。「医者はこんなときにウソをつくのです」がそれだ。
慶應義塾大学病院放射線治療科の近藤誠医師がこう語る。
「実は、医者がウソを言うのは、余命に関してが一番多いんです。初対面の医師が、いきなり『あなたは余命3ヵ月です』と言ってくるケースはよくある。特に若い医師に多いようです。
だいたい短めに言って脅し、不安にさせ、救いの手を差し伸べる。長めに言うと、患者はセカンドオピニオンを求めたり、他の治療法はないかと考えてしまう。そうした心の余裕を患者に与えないために、あえて短めに言うんです。昔は家族を脅すのに『余命6ヵ月』がよく使われたのですが、がん告知が当たり前になった今は『余命3ヵ月』に短縮された。そう宣告された多くの患者の話を、私は直に聞いています」
この「余命3ヵ月」には、もうひとつの理由があるというのだ。
「医療裁判に対する怯えは、がんに携わる医師のほとんどが抱いていると思います。余命に関しても、1年と言ったのに半年で亡くなったなどとなったら、医師の責任を追及されかねない。だから余命は短めに告げておくんです」(都内の総合病院外科医)
確かに医者が余命を確実に判定できるわけはない。医者意図を見抜く患者側の眼が必要なのだろう。
これも私のころからの定番の早稲田批判が現代に出ている。不思議なことに早稲田批判は部数が出るのだ。
Q
慶應に差をつけられ、明治に追い上げられている早稲田は慶応のマネをするようになった。
「大学の特色でもあった夜間部を’10年度までにすべて新規募集停止。女子学生と外国人留学生を増やした。最近では文科省の指導のもと、授業の出席率をあげようと、授業ごとに色の違う出席カードを用意したり、院生を雇って代返を監視させたりしている。
マネをしてみたが、結局慶応には勝てず、早稲田は『自由』という唯一の優位性すら失ってしまった。そして皮肉にも、早稲田は就職市場でもますます『魅力の薄い』大学になりつつある。就職率でみれば慶応83.6%に対して早稲田は76.1%と差は大きい」
早稲田のバンカラという気風も、もはや昔のこと。私のオフィスは早稲田の正門のすぐ近くだが、通る早稲田の学生はスマートなのが多い。早稲田はただの人数の多い特色のない大学になってしまったようである。
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