「当人たちには、なんの効力もない……」警視庁が“半グレ”集団を「準暴力団」と名付けたワケとは?
#六本木
今月7日に警察庁が新たに定義付けた「準暴力団」という名称。今までに指定された暴力団とは違い、さらには「密接交際者」や「準構成員」とも違う。警察庁によれば、昨年起きた六本木フラワー殺人事件の「関東連合」や、中国残留孤児の二世、三世を中心とした「怒羅権」を指すという。警視庁担当の全国紙記者は言う。
「もうめちゃくちゃですよね。関東連合も怒羅権も、ある意味において『暴力団』でもあり、暴力団の『密接交際者』や『準構成員』、さらには『共生者』でもある。これに定義付けする必要があったのかどうか分かりません」
この記者によれば、警察庁は関東連合メンバーを数十人、怒羅権メンバーを数百人、特定しているという。そもそも彼らのことは、闇社会に詳しいノンフィクション作家の溝口敦氏が「半グレ」集団と名付けていたが、ここにきて、当局のほうが名称を与えることになった。
しかし、その特定の仕方に首をかしげているのは、当の「準暴力団」メンバー本人たちなのかもしれない。若い世代の裏社会に詳しい、ノンフィクション・ライターの小野登志郎氏は言う。
「今さら『俺は関東連合だ』とか『怒羅権だ』とか名乗る連中は少ないと思います。そもそも彼らが最も猛威を振るっていたのは数年以上前のことで、彼らのOBたちはすでに40歳を過ぎています。若い時分ならいざ知らず、いい年をした彼らは、いちいち名乗ったりしないとは思いますが」
小野氏によれば、怒羅権が最も危険だったのは2000年前後であり、警視庁組織犯罪対策二課などによって長年マークされてきたという。今さら「準暴力団」と定義付ける必要はあったのだろうか。
「警察として『取り締まるぞ』という明確な意思表示なのでしょう。暴対法や暴排条例によって相対的に弱体化した既存の暴力団に代わって、彼らの存在がクローズアップされているのは確かですから。しかし、関東連合は今回のフラワー事件で混乱状態、怒羅権のメンバーたちは、不況の日本よりも中国やアジアに向かっています。日本の警察はどこに向かっているのか、分かりませんね」(同)
果たして「準暴力団」という定義が功を奏することは、今後あるのだろうか。前出全国紙記者は言う。
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