「上戸彩の“つくり方”」芸能プロ大手オスカー幹部に聞く…恋愛禁止ルールは必要
#上戸彩
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「上戸彩の“つくり方”」芸能プロ大手オスカー幹部に聞く…恋愛禁止ルールは必要 – Business Journal(2月26日)
米倉涼子、上戸彩、武井咲、剛力彩芽をはじめ、約6500人ものタレント、モデルが所属する、芸能プロダクション最大手のオスカープロモーション(以下、オスカー)。数多くのドラマやコマーシャルに所属タレントが出演するほか、女性タレントの登竜門の1つとされるオーディションイベント「全日本国民的美少女コンテスト」も開催する同社の強さの秘訣とはなんなのか?
今回、オスカー専務取締役の鈴木誠司氏に、
「有望株の発掘、スカウト、デビューの裏側」
「綿密な長期計画に基づくタレント育成法」
「売れるタレントの共通点とは?」
「芸能マネジャーのお仕事とは?」
「タレントに恋愛禁止ルールが必要なワケ」
などについて聞いた。
ーー御社は「全日本国民的美少女コンテスト」や、スカウト、スクールなど、新人発掘のためにいろいろなルートをお持ちですね。
鈴木誠司専務取締役(以下、鈴木) 芸能プロダクションにとって、新人発掘はメーカーにとっての商品開発と同じです。メーカーが持続的に成長するには、常に新商品を開発して市場に投入していくことが必要な点は、当社も同じです。絶えず将来有望な新人を発掘していく必要があります。そのためのルートは、多ければ多いほどよい。ですので、使えるルートはなんでも使い、発掘に努めています。
ーースカウトというと、繁華街で声をかけるというイメージですが、実際にはどのように行われているのでしょうか?
鈴木 私も含めて、繁華街だけでなく、電車の中でも声をかけますよ(笑)。もちろん電車を降りるまで待ってからですが。それから、当社は仕事で日本全国のいろいろな土地に出掛けますから、そういう場所ですばらしい人材に巡り会ったら、もちろんスカウトします。今では「全日本国民的美少女コンテスト」からスターがたくさん生まれていますが、昔はスカウトが中心でした。
ーーその「全日本国民的美少女コンテスト」ですが、具体的にはどのように審査が行われているのでしょうか?
鈴木 応募者数は毎回10万人前後で、まず応募書類で選考し、2500名程度に絞ります。2次審査は面接、レコード会社などの協賛各社の方々や、主要な雑誌約30誌の編集長や副編集長の方々に、審査に加わっていただいています。
ーー貴社の社員以外の方々も、審査員として参加される理由はなんでしょうか?
鈴木 例えば雑誌社の方に、「あの子を使いたい」と言ってもらえれば、仮にその子が最終選考に残らなかったとしても、モデルとしての夢が広がるわけです。例えば、剛力彩芽がそうでした。彼女は、2次審査で落ちたのですが、「セブンティーン」(集英社)のモデルをやりながら一生懸命頑張ったので、今の彼女があります。
ーー10万人前後の候補者を2500人に絞るのも難しいと思いますが、2次審査でさらに絞り込むわけですね。どのような基準で選ばれるのですか?
鈴木 企業秘密です(笑)。それは冗談ですが、言葉で表現するのは難しいですよ。長年鍛えた勘というのでしょうか、そういうものが大きいです。例えば、1997年の第7回のコンテストに参加した上戸彩は、当時小学校6年生で、背も小さかった。でも、2次審査の時にその上戸を見た社長の古賀(誠一氏)は、「この子は将来、必ず芸能界を変える」と言いました。結局彼女はグランプリを取れなくて特別賞でしたが、その後の活躍は皆さんご存じの通りです。
ーー上戸彩さんをはじめ、現在活躍されている貴社所属タレントの中には、剛力彩芽さん、米倉涼子さん、福田沙紀さんなど、意外とグランプリを獲得していない方が多いですが、それは戦略的に「あえて受賞させなかった」という面はあるのでしょうか?
鈴木 たまたまです。美少女コンテストの最終選考に残るメンバーの平均年齢は13歳~14歳、中学1〜2年です。その時点で彼女たちに完璧を望むのは難しい。ですので、演技や歌、容姿など全般的に見て平均点以上を取れる候補者が、総合的に高得点になり、グランプリを取りやすくなります。
●長期的なビジョンに基づいたタレント育成法
ーー剛力彩芽さんは、2次審査で落ちて最終選考には残れませんでした。その後、御社に所属されたと聞きますが、そのようなケースはよくあるのでしょうか?
鈴木 2次審査の時に本人と話をして、決めました。「モデルをやりながら頑張ってみる気はありますか?」と聞いたら、「頑張る」という意志でした。そして彼女は、モデルをやりながら一生懸命勉強していました。
ーー審査の段階で、本人と話をするのですか?
鈴木 2次審査の面接で将来性を感じる人がいれば、結果にかかわらず、だいたい話をしますね。芸能界デビューするにも、「グラビアから女優」「モデルから女優」「タレントのようなことをやりつつ女優もやる」など、いろいろな道があっていいと思います。そこで、本人に「すぐに女優になるのは無理だけれども、モデルとして経験を積み、勉強しながら、チャンスがあればデビューするという道でどうですか?」という話をします。本人が「頑張る」と言う場合には、モデルの仕事をやりながら、演技や発声、ウオーキングなどのレッスンを積んでいきます。地方在住の方の場合には、提携しているモデル事務所に所属させ、レッスンや経験を積んでもらいます。あとは、グランプリを獲得したかどうかは関係ありません。本人の頑張り次第です。
ーー有望な新人を発掘すると、すぐに即戦力として積極的にメディアに露出させる芸能プロダクションが多い中で、御社は長期的な計画を立てて、タレントを育成していくということでしょうか?
鈴木 プロ野球にも、練習生のようなシステムがありますよね。当社のシステムも同じです。モデルという仕事を通して切磋琢磨していくうちに輝いてくる。だから、最終選考に残った21人以外からも、どんどんスターが出てくるわけです。
そして、芸能界デビューする際には、「2年後に、こういうテレビドラマの主役として出演する」「3年後に映画に出演する」など、本人に3年先までの長期的な計画を説明します。もちろん、さまざまな都合で計画を変更する場合もありますよ。でも、行き当たりばったりではなく、しっかりとした計画に基づいて進めていきます。
もちろん、数年後に、どのテレビ局がどんなドラマをつくるかなんて決まっていません。しかし、その時々で企画されたドラマに、できるだけ当社のタレントをキャスティングしてもらえるというのが、当社が長年培ってきた人脈なり強さです。
ーー貴社にはAKB48のメンバーが所属していませんが、やはりそうした貴社独自の方針との違いからでしょうか?
鈴木 AKB48は、これだけ世間に受け入れられ、一大ムーブメントになっているのだから素晴らしいと思います。弊社にも所属のオファーはありましたが、社長の古賀の方針として、「当社は独自のタレント発掘、育成があるので」ということで、所属していません。やはり会社としての方針は、しっかり守ることが大切だと考えています。
ーー貴社のタレント育成システムについて、具体的にお聞かせください。例えばモデルから女優に転身する場合、その見極めの基準のようなものはあるのでしょうか?
鈴木 まず、モデル業と並行して、3年から5年かけて、演技、発声、この業界の礼儀、そういうことを全部教えて、それから女優としてデビューさせます。ただ、その時に本人にやる気がなければダメです。モデルの場合、ある程度持って生まれた容姿やスタイルなどで勝負できますが、女優は、「きれい、かわいい」だけでは通用しません。
例えば、米倉涼子の場合は、当初はモデルだけをやっていましたが、5年くらいたった時に本人に聞いたら、「もう少しモデルをやりたい」ということでしたので、そのまま続けさせました。それから半年に1回くらいの頻度で本人の意向を聞いて、3年たったころに、「女優として頑張りたい」と言ったので、デビューさせることにしました。
また、剛力彩芽の女優転身を決める時には、本人にきちんと「会社として剛力を推していくけどいいか?」と確認しています。それくらいの本人自身の覚悟がなければ、いくら会社として強力に推しても、うまくいきません。
ーー本人の意向を尊重し、数年も待つことがあるとは驚きです。
鈴木 20年くらい前、たくさんのキャンペーンガールが芸能界にデビューした時代がありました。転向して最初の1年くらいは知名度や話題性でなんとかなりますが、それから先は続きませんね。テレビ局のプロデューサーやディレクターはすぐに演技力を見抜いてしまいますから、二度と使ってもらえません。
ーー米倉さんや剛力さんがモデルから女優へ転身する際には、御社の中で演技の指導などもされたのですか?
鈴木 もちろんです。私どもはそういう育成システムを持っていますから。彼女たちはモデルの仕事をしながら、育成システムに参加し、演技の勉強などを続けてきました。モデルでも、演技力が必要とされるコマーシャルのオーディションは受けられますから。本人にとっても、勉強をやって損はありませんからね。
ーー現在活躍されているタレントの方々に共通している素質みたいなものは、何かありますか?
鈴木 一言で言えば、やはり負けず嫌いでしょうね。「やれません」「できません」という弱音を吐きませんよ。だから、壁を乗り越えてこられたのでしょうね。
例えば上戸彩の場合、「こういうオファーがあるけど、やれる?」と聞くと、最初は「えー」と言いますが、「でも、どうせまたやっちゃうんでしょ? いつもそうじゃん」とハッパをかけると、陰で努力し、必ず壁を越えていきます。
●芸能マネジャーに必要な条件
ーー芸能マネジャーというお仕事は、具体的にどのようなことをされるのでしょうか?
鈴木 まず、現場マネジャーというのは、タレントと一緒に行動して、現場で約束事がきちんと守られているかというようなことをチェックするマネジャーです。その上に、複数の現場マネジャーを束ねるチーフマネジャーがいて、スケジュール管理や営業をします。
現場マネジャーは、現場で仕事の内容を覚えていくことも大事ですが、現場に行ってテレビ局のプロデューサーやディレクターと顔見知りになり、人脈をつくることもまた大事なことです。我々は人脈がすべてですからね。プロデューサーの方々などと、気さくになんでも話ができるような間柄にならなければ、仕事はもらえません。
ーー御社の採用基準は、かなり厳しいとお聞きしたのですが。
鈴木 他社さんと同じだと思います。特別に高い基準を設定しているということはありません。ただ、人によって向き不向きはあります。向いていない人は向いていない。どれほど頭がよくてもダメです。どこの大学を卒業したかは、まったく関係ない。これはセンスの問題ですから。ディレクターセンス、プロデューサーセンスがあるように、マネジャーセンスというのもあります。
ーー優秀な芸能マネジャーになるために、必要なことはなんでしょうか?
鈴木 今の若い人は、ちょっとイヤになると、すぐに辞めますね。この道がダメなら違う道を行こうという感じで。我々の時代は、「この世界=芸能界でなんとか飯を食えるようになりたい」と一生懸命頑張りました。今でもプロ野球やJリーグを目指している人は、いつかはプロになりたいという夢を持って努力している。ですので、この業界、そしてこの仕事が好きということが第一です。
それから、人のために寝ずに仕事をしなければいけないこともあります。人が好きで、ある程度面倒見がよくないとダメでしょうね。
マネジャーは、自分を抑えなければいけない場合があります。タレントに対して、時にはお父さん・お母さんのようにならなければいけないし、時には先生のように叱らなければならない。いろいろな状況に応じて、適切な振る舞いを求められます。タレントによっては、今は機嫌がよくても、次の日には機嫌が悪くなって、「どうしてこういうことをしなければいけないの?」と言うタレントもいますからね。その時に、きちんとその理由が説明でき、本人に納得してもらえるような会話ができなければダメですね。上から目線で言ったら、人は動きません。きちんと説明できて、自分もお手本にならないといけない。
ーーそうした適性を、採用面接などを通じて見抜くわけですね。
鈴木 ええ。営業をして仕事を取るという意味では、マネジャーもある程度はスター性が必要ですけれども、タレントと一緒にいる時には、一歩、二歩下がって、タレントを引き立たせるということも必要です。つまり、ガツガツとした積極性と、すっと一歩引く謙虚さの両方を使い分けられる臨機応変さが必要ですので、それがあるかを見ています。
また、オスカーにはオスカーの仕事のやり方というものがあるので、経験者だからよいというわけでもありません。逆に新卒者のほうが、教えたことをスポンジのように素直に吸収するので、よい場合もあります。
●タレントに恋愛禁止ルールは必要?
ーー今、AKB48などで話題になっているタレントの恋愛禁止ですが、貴社にも同じような規則はありますか?
鈴木 当社のほうが前から導入しています。恋愛禁止ルールは、もちろん必要です。芸能界というのは3~5万人で構成され、100万人の予備軍がいるといわれています。その中で全員がトップを目指して、過酷ないす取りゲームをしているわけです。そういう世界で有名になりたいという夢を持って飛び込んで、やっとチャンスをつかんでデビューすることができた。「これからは、ファン、業界関係者、事務所スタッフなど、みんなの応援があれば、夢がかなう」というステージまで来たわけです。だから、周囲もみんな一生懸命応援するわけですよ。
その時に、当人が恋愛していることがわかったら、周囲はどう思いますか? テレビ局のプロデューサーだって、我々マネジャーだって、なによりファンもみな人間ですから、応援しようというモチベーションは下がりますよね。ですので、「何歳までは恋愛禁止。それが約束できるならデビューさせる」ということを、きちんと話をします。
もちろん、ある程度世間や現場関係者からも認められるような女優になれば、恋愛はするべきだと思います。
ーー具体的には、何歳まで恋愛禁止なのでしょうか?
鈴木 美少女コンテストを開催する以前は、デビューしてから最低5年は恋愛禁止でした。ですが、美少女コンテストで最終選考に残るメンバーが13~14歳で、当初は1年後にデビューというケースもありましたから、仮に14歳でデビューしたら20歳の時には恋愛してもいいということになります。そこで、「20歳過ぎてからデビューした場合はデビュー後5年でいいけれど、10代でデビューした場合は、20歳過ぎてから5年、つまり25歳までは恋愛禁止」というように変更しました。
ーーあまたある芸能プロダクションの中でも、御社の存在感が際立っていますが、その秘訣はなんでしょうか?
鈴木 当社は当初、モデル事務所としてスタートしました。モデルの仕事というのは企業様からの仕事が多く、数多くの企業様とお付き合いさせていただいています。代理店を通さず、企業様と直接仕事をする場合もあります。そういうお付き合いの中で、我々の知らない業界の人たちをご紹介していただくこともあります。よく「オスカーはコマーシャルに強い」と言われますが、それには、これまでに築いてきた幅広い人脈があるからだと思います。
もう1つは、モデル事務所として、雑誌社とも長くお付き合いしてきました。私どもが会社を設立した時に担当だった人が社長になっている雑誌社もありますよ。他社の芸能プロダクションが雑誌にも手を広げるようになったのは、15年前くらいからです。そこに大きな違いがありますね。
やはり、人脈が我々にとって大切な財産です。
(構成=編集部)
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