トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 裏方スーパースター列伝、あの超絶技が蘇る!『セックスの向こう側 AV男優という生き方』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.212

裏方スーパースター列伝、あの超絶技が蘇る!『セックスの向こう側 AV男優という生き方』

sex_no_mukougawa3.jpg一度見たら忘れられないAV界きっての個性派男優として活躍した漫画家の平口広美。
AV出演の理由は「無料で(女性の裸に)触れる」だった。

 ソフィスティケートされた雰囲気で、新人女優たちの相手を務めることが多かった平本一穂は、普段からとっても腰の低い紳士だ。「氷が張った湖の上でパンツ一丁で走らせられたり、透明なアクリル板の上に乗せられ空中SEXをさせられたり、無茶苦茶な撮影が多かった」と苦笑いしながら四半世紀にわたるキャリアを振り返るが、やはり撮影現場が面白いから仕事が続いたらしい。「きれいごとかも知れないけど、僕の場合は共演する女優に恋愛感情を持たないと出来なかった。物として扱うわけにはいきませんから。いちいち女優に惚れていましたね(微笑)。でも、それは僕個人の考え方。レイプもの専門の男優は、僕とは逆に女優といっさい口を利かないようにしているそうです。男優それぞれで女優への接し方が異なるんですよ」。1965年生まれの平本は「いつまでも現役ではいられない」という想いがずっとあり、2006年にAVメーカーを設立。撮影現場にはプロデューサー兼監督として赴くことが多くなったが、現場に現われたAV男優のコンディションがよろしくない場合は、今でもスクランブル出演するそうだ。

 トークショーの始まる時間が近づいてきた。髙原監督がまとめるように、こう言った。「基本、みんな“人が好き”なんだと思いますよ。作品ごとに変化があって面白く、好きだからこそ、みんなこの仕事が続いているんじゃないですか。辛いこともあるけど、楽しいこともある。まぁ、どの仕事も一緒でしょうけどね」。これまでに関わったAV作品数は2000本、本作の撮影から編集までフル回転した、えのき監督がこう付け加えた。「他の仕事と違う点があるとすれば、普通の男性は仕事で成功を収めて、女性をはべらすことが到達点なわけだけど、AVは最初からその到達点にいる(笑)。到達点を職場にしているわけで、一般的にはタブー視されているようなことでも撮影現場では平気でやりとりされている。オブラートに包むことなく、性に関して本音で語ることができる。それって、けっこーかっこいいと思うんですよね」。

 3人の男たちはトークショーに向かった。客席を埋めた女性たちの拍手が彼らを迎え入れる。AVが誕生して30年。これからAV業界とAVが映し出す日本人の性意識はどうなっていくのだろうか。まだ誰もその答えを知らない。
(文=長野辰次)

sex_no_mukougawa4.jpg
『セックスの向こう側 AV男優という生き方』
監督/えのき雄次郎、髙原秀和 出演/日比野達郎、速水健二、山本竜二、平口広美、加藤鷹、栗原良、平本一穂、島袋浩、田淵正浩、トニー大木、ミートボール吉野、森山龍二、吉村卓、黒田将穣、しみけん、鳴沢賢一、阿川陽志、森林原人、平井シンジ 
配給/マクザム 18歳以上のみ鑑賞可能 2月23日より渋谷アップリンクにてレイトショー公開中、全国主要都市にて順次公開予定 ※本編で収録できなかったインタビューも収めた関連本『AV男優という職業』(角川書店)も発売中。
(c)MAXAM Inc. <http://www.maxam.jp/sex/>

1234
ページ上部へ戻る

配給映画