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ルールも値段もややこしすぎた……JR「周遊きっぷ」が廃止に至った不人気の理由とは

「国鉄分割民営化によって、JR各社は取り分を明確にしなければならなくなりました。ところが、以前の周遊券は周遊ゾーンが極めて広かったんです。例えば、信州ワイド周遊券だとJR3社の路線に跨っていました。そこで、周遊ゾーンを細かくすることで、取り分を明確にしようとしたんです」(中尾さん)

 結局のところ、周遊券が周遊きっぷになって便利になった点としては、周遊ゾーン内で一部の私鉄やバスも利用できるようになった程度だったという(なお、周遊きっぷ開始当初、横浜から北海道へ行く際に「神奈川県内の空港から~」という意味不明の文面があり、旅行会社からの指摘を受けて訂正するという事態もあったとか)。

「周遊きっぷでも、新幹線も乗車できるようにするなど、ルールを現状に合わせればよかったのでしょうが、JR旅客6社すべてが納得しなければ規則を変更できないために足並みが揃わなかったんです。むしろ、よく15年も持ったなという印象ですよ」(同)

 値段も高くて買いにくい上に売りにくい。さらに、現地まで行くのにも周遊券時代と比べて割高な周遊きっぷ。対して、普通列車に限って乗り放題と、ルールも簡単で値段が一律の青春18きっぷが優位に立ったのは当然といえる。かつて存在した北海道ワイド周遊券は有効日数が20日間と極めて長く、多くの旅行者がこのキップを使って北海道に足を運んだことは現在でも語り継がれている。もう、そのようなお得で便利な鉄道旅行の手段は夢物語なのだろうか。
(取材・文=昼間たかし)

最終更新:2013/02/25 19:28
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