自民党非公認なのに“お墨付き”? 下町のまんじゅう屋がアベノミクスで新商品ラッシュ!
大藤と自民党の関係は、2001年に遡る。時は、ライオン丸ヘアーで、小泉純一郎首相がお茶の間の話題をかっさらった時代。その人気にあやかろうと、大藤では「純ちゃんまんじゅう」を企画した。そして、自民党本部に話を持って行ったところ……「『ダメだ!』と一蹴されました」と大久保社長。
「けれども、あきらめがつかずに、こっそりと作って販売しちゃった(笑)」
大胆にも、“非公認候補”として、お土産市場に立候補してしまったのだ!
しかし、メディアを通してその存在が世に知られるようになっても、自民党からのクレームは一切来ない。
「様子を見ていたのですが、連絡がなかったので、調子に乗っておせんべいやクッキーなども開発して販売しました(笑)」
そして4年後の2005年11月、大久保社長は一本の電話を受ける。
「飯島勲秘書官から『首相官邸に遊びにこないか?』と連絡をいただいたんです。いざ面会に赴くと、小泉総理自ら『よく作ってくれた!』と、光栄なお言葉を頂きました」
郵政民営化などの規制緩和を推し進めた小泉氏だが、その新自由主義政策がお菓子にまで及んだ瞬間。「自民党をぶっ壊す」と息巻いていた総理も、まんじゅうを壊すことはなかったのだ!
さらに、小泉首相が首相を辞任し、2006年には安倍首相が誕生。“美しい国”を標榜し「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍政権を応援するため、大藤でも、“純ちゃんレジーム”から脱却した「誕生! 晋ちゃんまんじゅう」を発売。前述のとおり、55万箱を売り上げる空前の大ヒットを記録した。さらに、体調不良の報道がなされると、ほうれん草パウダー入りの「負けるな!! 晋ちゃんまんじゅう」を発売し、陰ながらまんじゅうで総理を元気づけていた。
歴代首相の中で、大久保社長が特にお気に入りなのが、麻生太郎総理。べらんめえ調、毒舌、しかもマンガ好きというキャラクターは、まんじゅうにするネタの宝庫。「俺達の太郎」「秘密の太郎ちゃん」など5種類の商品を発売し、いずれも好評を博した。一方、残念な結果だったのが福田康夫総理。
「(福田氏の地元の)高崎に行っても『誰も買わないよ』と言われました。真面目な人なんですが、いつも不貞腐れているような顔つきでしたからね……」
世論と同様に“まんじゅう支持率”も惨憺たる結果に終わったようだ。
2009年には民主党が政権を獲得し、野党に下った自民党。メディアの露出は減り、話題性にも乏しい。もちろん、議席と同様にお菓子の売上も下降線をたどる……。だが、大久保さんは民主党に乗り換えることはしなかった。
「これまで、自民党のお菓子を勝手に作らせてもらっていたのに、政権が代わったからパッケージを変えて民主党に……とはいかない。やっぱり、商売は義理と人情です!」
情に厚い下町イズムを発揮する大久保社長。野党時代にも、谷垣禎一総裁をモチーフに、“カン”蹴りを行う「みんなで行こうZE!! 自民闘」「よみがえれ! 自民闘」などの商品を発売し、政権奪回をサポートする。
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