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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 被災者はサバイバーズギルトにどう対処している? 中田秀夫監督による映像碑『3.11後を生きる』
中田秀夫監督が撮ったドキュメンタリー映画が公開!

被災者はサバイバーズギルトにどう対処している? 中田秀夫監督による映像碑『3.11後を生きる』

wakeof311_02.jpg家族5人を失った漁師の五十嵐康裕さん。
「海を糧にしてきたので、海を憎いとは言えない」とタラ漁を再開することに。

 自宅に残した両親、妻、2人の子どもを失ったタラ漁師の五十嵐康裕さん、車で迎えにきたひとり娘と3人の孫が目の前で津波に呑み込まれたスナック経営者の三浦恵美子さんらが“あの日”を振り返る。ナイーブな演出で知られる中田監督にとって、家族と引き裂かれた人たちにカメラを向けることは容易な作業ではなかったはずだ。

中田 「辛い、大変だと思うと、もうカメラは向けられません。そこは事前にリサーチして、お話できる状態かどうか確認してからカメラを回しています。アポなしで撮影するような突撃取材はしていません。向こうも、『こいつなら話せるかな』という、お互いに感じ合うものがあってインタビューが成立したように思います。カメラに向かって話すことで気持ちの整理ができたのではないか? いや、インタビュー中はとてもじゃないけどこちらも余裕はないし、僕の口からはそんなことは言えない。ただ、まだ被災から4か月で行方不明の方たちが多い状況だったので、身内に行方不明者がいる方の場合は過去形にならないよう語尾には注意しました。恐る恐るインタビューしていては取材になりませんが、最低限そういうことは気を遣いました」

■懸命に働くのは悲しみを一瞬でも忘れたいがため

 町を呑み込んだ津波のニュース映像や被災後の生々しい情景も盛り込まれているが、本作の主眼は“3.11”を生き延びた人々が被災地で懸命に働く姿だ。新たにスナックを始めた三浦さんはお化粧をしてカウンターに立ち、お客さんに笑顔を見せる。漁師の五十嵐さんは家族を奪った海に向かって仲間たちと漁へ出ていく。仕事とは単にお金を稼ぐ行為ではなく、個人と社会を結びつけるものでもあることがポジティブに描かれている。

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