いつも心に「ぺっこり45度」、再ブレイク中のずん・飯尾和樹を構成する“謙虚な毒”
#お笑い #インタビュー #ずん
――同期のブレイクを、飯尾さんはどんな気持ちで見ていたんですか?
飯尾 とにかく「いっせーのせ!」って、同じ条件でやるわけじゃないですか。条件一緒なんだから、文句のつけようもない。あいつらスゲーな、面白いなって。本当はもっと悔しがったりするべきでしょうね(笑)。ただ、最初にブレイクしてくれたおかげで、いい人ばっかり紹介してもらえました。気の合うスタッフとのご飯に、俺たちを呼んでくれたりして。キャイ~ンがね、俺たちの前に転がっている砂利を全部取り除いてくれたようなもんです。それなのに、俺たちは自分で足ひねってた。なんでこんな真っ平な道で……(笑)。今までそうやって大チャンスを何回逃してきたことか!
――チャンスをモノにできなかった原因とは?
飯尾 昔から、どうしようもなく気が小さいんです。2回連続してスベると、もう固まっちゃう。「La.おかき」を解散して「ずん」を組むまでの2年間は、それこそ出られるのはキャイ~ンのラジオぐらい。でも、そこで気づいたんですよ。あの二人だって、会話の全部がスタッフたちにウケているわけじゃない。だけど、果敢にいくんですよね。それを見て「この世界で生きていくなら、スベったっていくしかないんだ」ということを知ったんです。スベってショックを受けるっていう神経を捨てなきゃいけないと。もちろん、ウドや天野は2回言って伝わらなくても、3回目にはすごい笑いにしますけど。ピンでいた2年間で、それを叩き込まれました。
そう、キャイ~ンがガーッといっていた当時、僕からしたら芸人として理想のコースを歩んでいるようにしか見えなかったんですが、でも、会うとちょっとため息ついてたりするんです。楽しいは楽しいけど、やっぱりやりたいことの2割くらいしかできないって。え? そうなの? この世界は、実力が認められたら、やりたいことなんでもやれるんじゃないの? と。そこには、時間帯の問題とか表現方法とかいろいろあるんですよね。でも、「その2割で思いっきり楽しむんだ」ってあの二人が言っているのを聞いて、あぁ上に行ったら行ったで、そんな悩みがあるんだと。それに比べたら、俺の悩みはなんてちっぽけな。「ぱっくりピスタチオ」が30人の前でスベっている自分を悩んでる場合じゃねぇだろと(笑)。
――売れた後も大変ということを知ってしまうと、芸人としてのモチベーションを保つのが難しそうですが。
飯尾 僕の場合は、誰かに「やってください」って言われてやってるわけじゃないから(笑)、モチベーションとか考えたことはないですね。だって、すごい大物の方がパッと引退したって、2~3カ月したらもう代わりの人が出てくる世界ですよ。代わりなんて本当はいないんだけど、それでも普通にテレビは回っていく。そう考えると、もう「好き」以外の理由はないんじゃないですかね。
――芸人を辞めようと思ったことは?
飯尾 ピンになった2年間ですね。でも「あぁ無理かな~」って思ってる時に限って、天野やウド、関根(勤)さんや小堺(一機)さんが笑ってくれる。あの方々に「いやぁ面白いね~」って言われると、「一線で活躍している人たちがそう言ってくれるんだから、もしかしたらまだイケるか?」つって。なんて言うんですかね、痛み止め打ちながらやってきたというか(笑)。いやぁ、勘違いって大事!
――その「痛み止め感」は、“現実逃避シリーズ”にも表現されているような。
飯尾 「なんでも10円で買えたらな~」とか、3~4年前に本気で言っていたことですから(笑)。「ビル・ゲイツの1万円って、俺たちでいう何円か」「1円くらいなんじゃねーか」とか。ちょっとアブナイくそジジイたちですよ。現実逃避しながら粘ってましたね。30過ぎて続けるのって、もうそれしかない。
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