美観地区だけじゃない──ビミョーなお楽しみスポット満載だった町・倉敷
昨年末、取材のため長らく岡山県に滞在した。近年、「大都会岡山」はネットでよく目にするスラング。しかし、大都会であるはずの岡山市の人口はわずか70万人程度。倉敷市など周辺自治体を合わせて、ようやく100万人に達する程度である。そうした岡山県の実態は、先日発売された『これでいいのか岡山県』(マイクロマガジン社)で、じっくりと記した。
今回は、そんな岡山の隠れた観光スポットを紹介することにする。
岡山県で最も多くの人を寄せる観光地といえば、倉敷市の美観地区だ。岡山市には日本三名園のひとつ後楽園があるが、観光客の数ではかなわない。2011年の統計では、倉敷美観地区が323万人なのに対して、後楽園は66万4000人、圧倒的である。
何しろ、後楽園は単なる庭園。隣には岡山城もあるが、「見たらおしまい」である。茶店や土産物屋も数える程度で、よほど庭園や城が好きな人でなければ楽しめないだろう。対して、倉敷美観地区は街並みそのものが観光地になっているわけで、白壁の街並みを周遊しながら、ゆっくりと楽しむことができる。
岡山県では、これくらいでも賑わっているんだよ!
ただ、人が集まっているのは美観地区だけ。起点となるJR倉敷駅と美観地区とは徒歩10分あまりの距離だが、その間にある商店街は閑散としている。一昨年には、駅の反対側に大型ショッピングモールもオープンしたが、商店街にはなんの恩恵もない。
JR倉敷駅も、併設していたホテルが廃業したこともあり、うらぶれた雰囲気に満ちている。
■何も観光するモノがない鉄道・水島臨海鉄道
その倉敷駅の隣にあるのが、水島臨海鉄道の倉敷市駅だ。倉敷市の産業の柱となっているのが、水島コンビナート。その水島コンビナートへ物資を輸送する鉄道が、水島臨海鉄道である。倉敷市駅から出発する、この鉄道の旅客営業の終点は、三菱自工前駅。まさに工場地帯にふさわしい駅名だ(本線の終着駅は倉敷貨物ターミナル駅なのだが、一般客は乗せてくれない)。
倉敷市駅へとJR倉敷駅から、案内を見ながら飲食店が集まるビルの脇を歩いていくと、大きく「水島臨海鉄道のりば」という表示が。まさか、三階建てとは随分と儲かっているのだなあ……と近づいたら、看板が掛かっているのは自転車置き場。駅は、その裏であった。
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