上祐さんのサインをもらった
#カルト #カルトなニッポン見聞録
■上祐さんはシャレがわからない
かつての上祐さんは、悪い意味でインパクトのあるパフォーマーでした。あるときは、テレビカメラの前で「ばかばかしいですよ!」と声を荒らげてフリップを投げ、警察を非難して見せました。オウム幹部・村井秀夫が刺殺された後のインタビューでは、村井を殺したのはマスコミだと言わんばかりに「次は尊師(麻原彰晃)を殺すんですか!」と報道陣にキレて見せました。
しかし、現在の上祐さんは違います。著書でもイベントでも、批判に対して謙虚で殊勝そうな態度は崩さず、口先で批判をいなすだけ。何も面白いことはしてくれません。当然、伝説の“フリップ投げ”もイベントでは披露しませんでした。
しかしイベント中に、上祐さんの言葉ではなく行動に、お客さんから批判の声が上がった場面が1度だけありました。休憩時間に、上祐さんがお客さん相手にサイン会を行っていたからです。
「どういう気持ちでやってるんでしょうか? サインというのは一般に、芸能人とか作家とか、やましいことがない人が書くのが自然。会場の人も、どういう気持ちでサインを受け取っていたんでしょうか?」(お客さん)
これは、ものすごくいい質問でした。テロ集団の元幹部で、現在も残党組織の代表者である人がサイン会って、確かに変です。
「署名することで販売を促進して、被害者への賠償になればという気持ちでやっていますが、そういった印象を抱かれる方もいらっしゃると思いますので、今後、やり方、その他考えながらやっていきたいと思います」(上祐さん)
もはや上祐さんにとって「賠償のため」は自己保身の最終兵器。これさえ言っときゃOKみたいな印象です。イベントが終わると、やっぱりまたサイン会が始まりました。
実は、お客さんからの批判が出るより前に、私もイベントの中で、
「上祐さんを文化人扱いすべきではない」
と発言していました。というわけで、ようやく私が上祐さんを「いじる」ネタができました。
イベント後、上祐さんは、会場に残った20人ほどの観客を相手に「懇親会」という名の説法会状態に。そこへ私が、色紙とマジックを持って突撃です。
藤倉 「サインしていただけますか?」
色紙へのサインなので、書籍の販売促進にはなりません。でも上祐さんはOKしてくれました。そこで、もうひと押し。
藤倉 「サインの下に“文化人”って書いてください!」
上祐さん 「それ、どういう意図ですか?」
藤倉 「カルト化しないためには、シャレを理解すべき」
結局、サインはもらえましたが、「文化人」とは書いてもらえませんでした。
●ふじくら・よしろう
1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。
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