『自縄自縛の私』縛ることで解き放たれたミューズ・平田薫の横顔
#映画
「私も百合亜と同じように、友人が多いタイプではないんです。自分から進んで新しい人間関係を作っていくのも、誰かに頼ることもすごく苦手。もっぱら心を解放するのは自宅でひとり酒をしている時。騒ぎたくなったら騒ぎ、泣きたくなったら泣く(笑)」
人に光と影があるのだとすれば、平田薫は間違いなく“影”の部分をもった女の子だ。自分を飾ることなく話す彼女と接するにつけ、本作のヒロインに抜擢された理由が分かるような気がした。
はたして平田薫は、20代女性がもつ複雑な心模様をさらりと演じきった。ありそうでなかった真理の発見が、そこにはある。
「印象に残っているのは、終盤のあるシーンです。撮影中、感情が爆発して途中から記憶がないんです。百合亜の哀しみや怒りにシンクロできたのかも……。身体の芯がざわつき、気がつくといつの間にか撮影が終わっていて。自分のすべてを縄に委ねることができ、その瞬間、自縄自縛の本質に近づけたのかもしれませんね(笑)」
縄さえあれば、私はひとりで生きていける――。はたして自縄自縛は、破滅めいた媚薬なのか。しっとりと微笑む彼女の姿を見るにつけ、瑞々しい白肌に縄が喰い込むシーンがオーバーラップし、ドキッとする筆者なのであった。
平田薫という新ミューズ、侮るなかれ。
(文=メコン伝太/写真=石黒幸誠 go relax E more/ヘアメイク=内山多加子 Commune/スタイリスト=有本祐輔)
●平田薫(ひらた・かおる)
1989年、宮城県生まれ。「CANDy」(白泉社)の専属モデルを経て、『魔法戦隊マジレンジャー』のヒロイン役で女優デビュー。主な出演映画は、『アヒルと鴨のコインロッカー』『るろうに剣心』など多数。その透明感と屈託のない笑顔を武器に、CM・ドラマへの出演など、活躍の幅を広げる。
ブログ〈http://ameblo.jp/kaoruhirata/〉
●『R-18文学賞vol・1自縄自縛の私』
蛭田亜紗子による小説『自縄自縛の私』の映画化作品。主演の平田薫は本作で、初ヌードを披露する。監督は竹中直人が務める。配給/よしもとクリエイティブ・エージェンシー 公開/2013年2月2日 新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
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