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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > メディアが報じない北朝鮮の日常
写真集『隣人。38度線の北』発売記念インタビュー

違和感ではなく、共感を拾い集めたい――メディアが報じない「北朝鮮の日常」

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――独裁国家である北朝鮮に負けず劣らず、自由主義である日本でもマスコミや大資本によって先入観が植え付けられ、印象は少なからず操作されています。当たり前に接する情報への「問い直し」は、とても重要なことです。

初沢 もちろん、北朝鮮を肯定しているわけではありません。僕自身は、言論の自由も移動の自由もない北朝鮮では、絶対に生活したいとは思わない。しかし、彼らには彼らなりの国家のあり方があり、彼らなりに生きているんです。独裁体制が問題だから潰せ、というアメリカを中心とする西側からの圧力は内政干渉でしょう。

――初沢さんとしては今後、日朝関係に関して、どのような変化を期待しますか?

初沢 日朝関係については、とても悲観的です。政府は「拉致問題の解決なくして日朝国交正常化なし」とし、その「解決」について「拉致被害者全員の帰国」「拉致問題の全容解明」「実行犯の日本への引き渡し」との公式見解を発表しました。この高いハードルが足かせとなって、日本政府は身動きが取れていません。北朝鮮としても「拉致問題は解決済み」というのが金正日の遺訓になってしまっており、平行線が続くでしょう。

 理想としては、日朝平壌宣言に基づいて、まずは国交正常化をするべきです。1兆5000億~2兆円といわれる経済援助額も、一度に払う必要はありません。拉致問題の進展の度合いに応じて払うべきでしょう。国交が樹立すれば、双方に大使館ができ、人や物資、情報の交流が行われることになります。交流が少しずつでも深まれば、おのずと安全保障上の脅威も取り除かれていくことになるのではないか。経済交流が進めば、日本の国益にもなるでしょう。経済制裁を強化しながら「拉致被害者を帰せ」と叫ぶだけでは、なんの解決にもなりません。少しずつでも成果を出していくことが、政治の役割だと考えています。
(取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])

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●はつさわ・あり
1973年、フランス・パリ生まれ。上智大学文学部卒業。第13期写真ワークショップ・コルプス修了。イイノ広尾スタジオを経て、フリーランスとして活動する。ファッション、グラビア、クルマ、宝塚歌劇などの撮影を手がけながら、作品発表も精力的に行っている。

最終更新:2013/01/31 16:28
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