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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 話題沸騰中アニメ【琴浦さん】
週刊アニメ時評 第31回

飽和する日常系アニメに新星現る? 『琴浦さん』が面白い!

 他人の心を読み取れてしまうがゆえに己の家庭を崩壊させ、行く先々で気持ち悪がられるという不幸な生い立ちを送ってきた彼女は、時に涙を流し、時に笑顔で過酷な現実を受け入れていく。琴浦さんの優しくも強いその生きざまは、他人の言葉に一喜一憂し、常に誰かの目線を意識しながら生きる我々そのものであり、彼女に共感し共に悩み戦ってくれるESP研究会の仲間と過ごす「日常」は我々の希望なのだ。

 これまで数多くの日常系アニメを手掛けてきた太田監督とあおしま氏が、ここまである種のリアリズムを伴った「日常」を描こうとしている点は非常に興味深い。本作が描こうとしているのは、決して「サディスティックな目線で愛でられるべき不幸な少女の物語」ではなく、「他人の善意も悪意も可視化された世界の中で生きていかざるを得ない我々の希望を描く物語」なのだ。

 飽和状態と思われた日常系アニメシーンに颯爽と登場し、あっという間に話題をさらった『琴浦さん』。過酷な現実をスパイスに、どこまで幸福な日常を描くことができるのだろうか?
(文=龍崎珠樹)

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最終更新:2019/03/01 18:31
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