「ウソにウソを重ねる富士スピードウェイ」2007年F1“ずさん運営”日本GP一次訴訟が1月24日判決へ
#事件 #企業 #トヨタ #FSW訴訟 #F1
また、C席仮設スタンドの件についても、新しい主張が飛び出した。それまでC席仮設スタンドの一部払い戻しの告知は30日午前に決定し、来場者に案内のパンフレットを配ったとされていたが、これをフリー走行があった28日に行ったというものである。
これは決勝日30日にシャトルバスのアクセスポイントまで行ってバス待ちに並んだが、予選日29日以上の混乱を容易に予見、同行する家族、幼児の健康が心配されたため、泣く泣く決勝レースの観戦をあきらめたC席の原告証人に対しての被告代理人の質問であった。そして証人尋問の後、あらためて書面にて提出されている。
これは07年10月、YOMIURI ONLINEをはじめ各メディアで報じられた内容と異なるものである。当時の報道では「3億5,000万円払い戻し」というキャッチーなタイトルで報じられており、いかにもFSWが英断、即対応した美談のように報じられていたのだが、決勝日30日と予選が始まる前日の28日とでは大きな違いであり、28日も観戦したC席原告には、まったくの寝耳に水であった。
この被告の主張の転換を見る限り、レース開催前にC席仮設スタンドからコースがよく見えないことを把握、対応を検討してそのシナリオ通りに行ったという疑念がますます高まった。そうでなければ、3億5,000万の払い戻し金額に到底及ばない和解金額決定に時間がかかる理由に説明がつかず、この美談シナリオは当時F1に参戦していた親会社トヨタの意向もあったに違いない。
いずれにしても、フリー走行日の28日にFSWが配ったと新しく主張した払い戻しの書面は、原告はもちろんのこと、他のレース観戦者からも「見た」「受け取った」という情報は得られていない。
07年当時、メディア向けに謝罪したFSW、そして親会社のトヨタ自動車であるが、裁判は全面的に争い、そして原告をウソツキ呼ばわりして裁判を長期化させてきた。一方で自らの主張の証拠となる肝心の資料は存在しない、当初から一貫して主張してきた「想定外の悪天候」については翻す、C席仮設スタンド払い戻し決定の美談は自作自演の可能性が高まるなど、あらためて不誠実な企業態度が明らかになった。
この裁判の一次訴訟は1月24日、二次訴訟は3月29日に判決が言い渡されるが、その内容、そしてFSWの対応にあらためて注目したい。
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