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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『烏城物語』と併せて読みたい市井の記録 岡長平『ぼっこう横丁』
昼間たかしの百人にしかわからない本千冊 12冊目

『烏城物語』と併せて読みたい市井の記録 岡長平『ぼっこう横丁』

bokkou002.jpg箱を開けるとさらに箱が出現。厳重すぎる!

■図書館で見つけた本が欲しくなり倉敷まで

 さて、本題である。お城を抜けて、県庁のほうへ降りるとある目新しい建物が岡山県立図書館だ。昔の県立図書館は、天神山のところにこぢんまりとあるだけだったが、1999年に丸之内中学校が生徒数減少で廃校になった跡地に移ってきた。

 駐車場はあるし、県庁の向かいなのでバスは放っておいても次々来る好立地のためか、いつも賑わう図書館。近年は、何度も貸出率日本一を達成している。もとより岡山は「教育県」を自負していたこともあってか、地方出版が盛んな地域。こちらの図書館も、郷土資料は大変に充実している。

 どんなものかとのぞいてみた筆者は、ある本を見て驚いた。「こ、この本は、ぜひ手元に置いておきたい!」――。早速、古書の探求に欠かせないサイト「日本の古本屋」で検索してみれば、倉敷駅近くの古書店にあるという。

 古書との出会いは瞬間である。一瞬躊躇すれば、どこの馬の骨とも知れぬヤツに奪われてしまう。時計を見れば夕方4時半を回ったばかりだ。まだ時間は十分ある。

bokkou003.jpg中身はこんな感じ。なぜか、懐かしの山陽相互銀行(現・トマト銀行)の
チラシらしきものが同梱。

 そこで筆者は走った。県庁通りをまっすぐに、電車道を横断して、天満屋の前を過ぎて、電話局のところを、まだまっすぐに西川を越えて岡山駅へと。

 運よく岡山駅のホームで待っていたのは、福山行きの快速サンライナー。庭瀬も中庄もすっ飛ばして、倉敷駅までノンストップである。倉敷駅からは、岡山方面へ旧2号線を戻って10分あまり。目指す古書店・長山書店はあった。

 店に駆け込めば、レジにいた可憐な女性店員は、郷土史関係は2階だという。早速、駆け上がって本棚を探すが……ない! ない! ない!

 これは大変だと、2階のレジにいた、ご店主らしき人に聞いてみれば、

「いや、展示会に出しているんで、美観地区のほうに持っていっとるんじゃ。今日は、もう閉まっとるなあ~」

と、明日来るように言われてしまった。ここで初めて値段を聞いたら(サイトで見るのを忘れたんじゃ!)「正・続合わせて9000円じゃ」という。ままよと、1万円をレジに叩きつけ「明日、取りーくるから、今日はいぬるわ」ということに(東京から来たといったら、消費税分まけてくれた。さすが備中倉敷。商人は転んでもただでは起きぬという備前岡山とは違う)。

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