金額が適当ゆえ、持ち家/賃貸どちらが得かはわからない?
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金額が適当ゆえ、持ち家/賃貸どちらが得かはわからない? – Business Journal(1月14日)
話題となったテレビドラマ
『フリーター、家を買う。スペシャル
DVD』(ポニーキャニオン)より
はじめまして。
このたびビジネスジャーナルで執筆を始めることになった、投資・ビジネス電子書籍会社Business Library Butterfly(ビジネスライブラリーバタフライ)の土居亮規です。
今回は、随所で議論され続けている「持ち家と賃貸は、どちらが有利なのか?」という内容に、切り込んでいきたいと思います。
とはいえこのテーマ、持ち家に対する並々ならぬ執着がある方々が多い日本では、結論だけ出しても受け入れられがたいと予想されます。というわけで、理論的な分析や実情、そして広がっている俗説のウソ/ホントの解説などを通して、この問題に切り込んでいきたいと思います。
●そもそも、不動産価格はどのように決まるのか?
よく「この地区の土地は坪◯◯円です」という言葉を聞きますが、コレ、よく考えるとおかしくありませんか?
この「坪◯◯円」という価格の決め方は「取引事例比較法」といい、過去の取引事例での価格と比較して、地価を算出する方法です。ということは、過去(というか近日中の)取引事例がないと価格を算出することはできないわけです。でも、なぜか確実に、この「坪○○円」という提示価格は出てきます。
取引事例がない場合は、その不動産業者さんの経験(?)に基づいて価格が公示されます。早い話が、“適当”です。
ともかくこの方法で算出した土地価格に付加価値価格(景観やエレベーターなどの設備etc.)を合計したものが、不動産の販売価格となります。
もちろんプロの現場では上記のようないい加減な方法でなく、「収益還元法」という手法を利用して価格が算出されています。これは、不動産の収益(キャッシュフロー)を元に不動産価格を算出する方法です。今回は本題ではないので細かい評価式などの内容は省きますが、この方法だと純粋に市場が求めている価格を基準に不動産価格を算出できるため、非常に明朗でわかりやすいです。
●賃貸料金(家賃)はどのように決まるのか?
家賃を理論的に決定するなら(そのような物件は非常に少ないですが……)、以下のプロセス(例)をたどります。
(1)生活スペースの計測
生活スペースとは、リビング(L)、ダイニング(D)、キッチン(K)のことを指します。この部分の面積を計測します。
(2)基準間取り家賃の算出
(1)で計測した生活スペースを基準にして、次は基準となる間取りに対しての家賃金額を算出します。この算出方法はネットなどでも公開されています。
(3)付加価値の算出
駅から徒歩○分だとか、構造(木造、軽量鉄骨etc.)、築年数その他諸々の要素を加味して、金額をプラスマイナスします。
以上が一般的(であるべき)な家賃算出方法です。
●家賃は、家主が“適当に”決めているのが実情
しかし、家賃は家主が恣意的に(適当に)決めているというのが実情です。
上記の「(1)生活スペースの計測」と「(2)基準間取り家賃の算出」を比較してみただけだと、「不動産価値が適正に評価されているという点から、持ち家のほうが賃貸より有利だ」という結論に至るかもしれません。
しかし、実態はそうでありません。ここには大きな落とし穴があります。
つまり、「不動産は適正価格で販売されているのか?」ということです。
答えだけを先に言ってしまうと、もちろんそんなことはありません。
不動産業者さんに睨まれてしまうかもしれませんが、業者は不動産を買い取る時は「収益還元法」「取引事例比較法」のうち、評価額の安いほうで買い叩き、売る時はその逆をやるというケースが目立ちます。もちろんすべての不動産業者がこんなことをやってるわけではありませんが、数千万円単位が当たり前の不動産取引で、バカ正直にやる人ばかりではない、というのはご理解いただけると思います。
以上見てきたように、不動産の賃貸料金も取得料金も恣意的に決められているため、「賃貸と持ち家どちらが得か?」というのは、少なくとも金額の面からでは判断できないということがわかりました。
ですので、次回はもう少し別の観点から分析していきたいと思います。
(文=土居亮規/Business Library Butterfly)
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