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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > ディジュリドゥ奏者GOMA登場
『フラッシュバックメモリーズ』公開記念インタビュー

「繰り返し、繰り返し……」記憶を失った音楽家GOMAがたどり着いた、第2の人生のスタートライン

_MG_0497.jpg撮影=後藤秀二

 2009年11月、ディジュリドゥ奏者のGOMAが首都高速で追突事故に遭い、記憶障害を負った。オーストラリア先住民の管楽器であるディジュリドゥの日本における第一人者として知られ、国内外の大型フェスにも多数参加するなど順調にキャリアを積んでいた彼を襲った突然の事故に、多くのファンがショックを受けた。一時は復帰が絶望視されたものの、リハビリ期間を経て徐々に回復する過程を描いた『フラッシュバックメモリーズ 3D』が、1月19日(土)より新宿バルト9ほかで公開される。

 メガホンを取ったのは、サブカル界の新星として脚光を浴びるドキュメンタリー作家・松江哲明監督。「過去」と「現在」という2つの物語をひとつの時間軸で描くこの作品には、本人に対するインタビューは一切登場しない。GOMAとThe Jungle Rhythm Sectionのスタジオライブが「現在」を描き、その背景で事故に遭うまでのGOMAの半生、そして事故から復帰までの道のりという「過去」が、映像や写真、そしてGOMAと妻・純恵の日記を使って映し出される。これまでの3Dとは一線を画す、画期的な映像作品でもある。昨年10月に行われた『第25回東京国際映画祭』では観客賞を受賞し、各所で話題となっている。

 GOMAは、撮影時のことは覚えていない。たぶん、このインタビューのことも。なぜなら、事故によって過去の記憶を部分的に失っただけでなく、新しい記憶も定着しづらくなるという記憶障害を負ったからだ。今日の出来事は、1週間ほどしか覚えていられない。どんどん記憶が失われていく時間軸のない世界で、GOMAはひとり生きている。けれど、この映画から伝わってくるのは悲壮感ではなく、強烈なまでの生のエネルギーだ。いったい、この映画はGOMAにとってどんなものなのか、話を聞いた。

***

――まず、撮影のきっかけから教えてください。松江監督とは、以前からお知り合いだったんですか?

GOMA プロデューサーの高根順次さんから僕のドキュメンタリーを作りたいというお話をいただき、彼の紹介で、映画にも出てくる、事故後初めてバンドで行ったお披露目ライブに来てもらったのが最初です。しかしこの話をいただいた時、受けていいのかどうか悩みました。本当は言いたくないこと、人には隠しておきたいことも含めてオープンにしていかないと、いい作品にはならない。そういう部分の葛藤はすごくありました。監督や映画のスタッフと何回か会って、自分の中で「大丈夫だ」と納得できるまで、少し時間がかかりました。

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