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フィルムの生産中止でデジタル化が進む映画界! “ピンク映画”と成人館はどーなるどーする?

jukutsumaaijin2.jpgこちらも『熟妻と愛人 絶妙すけべ舌』。新人女優・春日野結衣とベテラン監督
としても知られる池島ゆたかとの主演作となっている。
(c)OP PICTURE

 2012年に劇場公開された映画の中で、林田さんの印象に残った作品について訊いてみた。「午後8時の映画祭」の最終プログラム「2012年ピンク映画傑作選」として、荒木太郎監督の『さみしい未亡人 なぐさめの悶え』、吉行由実監督の『新婚妻の性欲 求める白い肌』、後藤大輔監督の『熟妻と愛人 絶妙すけべ舌』、池島ゆたか監督の『愛いろいろ lovely family』、松岡邦彦監督の『つわものどもの夢のあと 剥き出しセックス、そして…性愛』、竹洞哲也監督の『義父の求愛 やわ肌を這う舌』の6本を林田さんはピックアップしている。

「2011年は山内大輔監督の『色恋沙汰貞子の冒険 私の愛した性具たちよ…』、友松直之監督の『囚われの陰獣』といったピンク映画の閉塞感を打ち破ろうとする野心作があったのですが、正直なところ2012年は全体的に小粒でした。その中で6作品を選んだわけですが、個人的に印象に残ったのは後藤監督の『熟妻と愛人』。後藤監督は2011年度の『ピンク大賞』監督賞に選ばれた実力派。夫がピンク映画の録音技師をしている夫婦が生活難から部屋の間貸しをはじめ、間借りした若い女性と夫婦の間で感情のもつれ合いが起きるというピンク映画ならではの内容ですね。ユーモアを交えながら、人間の営みを魅力的に描いた作品です。ピンク映画ではありませんが、ピンク映画出身のいまおかしんじ監督が脚本提供した山下敦弘監督の『苦役列車』も楽しめました。いまおかさんの世界と山下監督の演出が合っていたんじゃないですか。8ミリフィルムにこだわる映画少年を主人公にした吉田大八監督の『桐島、部活やめるってよ』も良かったですね。説教臭くならずに、人間関係の細やかなもつれを軽妙に描いた秀作だと思いますね」

 これから職場の仲間たちとの忘年会に参加するという林田さんに、最後の質問を投げ掛けた。フィルム上映とデジタル上映、林田さんはどちらの鑑賞方法を選ぶ?

「フィルム撮影された作品はフィルム上映で、デジタル撮影された作品はデジタル上映で観たいですね。それが、いちばん適した鑑賞の仕方だと思うんです。上野オークラ劇場は新しくて上映設備もしっかりしており、私も新作はここで観ていますが、フィルム撮影されているピンク映画はフィルム上映をしている古い劇場で観たほうが、やはりよりオリジナルに近い状態で観ることができるんですよ。そこまでこだわる観客が、果たしてどのくらいいるかは分かりませんが(苦笑)。しかしながら、都内で新作ピンクが漏れなく上映される映画館は今や上野オークラ劇場しかないという……。まぁ、とても当たり前のことなんですが、作品はありのままの自然な形で楽しみたい。そういうことなんです」
(取材・文=長野辰次)

最終更新:2012/12/30 21:00
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