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「宝くじなんて損」は本当orウソ…カジノより儲けられる!

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!

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「宝くじなんて損」は本当orウソ…カジノより儲けられる! – Business Journal(12月25日)

「Wikipedia」より

 数多くの大企業のコンサルティングを手掛ける一方、どんなに複雑で難しいビジネス課題も、メカニズムを分解し単純化して説明できる特殊能力を生かして、「日経トレンディネット」の連載など、幅広いメディアで活動する鈴木貴博氏。そんな鈴木氏が、話題のニュースやトレンドなどの“仕組み”を、わかりやすく解説します。

 この原稿を書いている時点では、まだ年末ジャンボ宝くじの窓口は大賑わい。1等前後賞あわせて最高当せん金は6億円。しかも今年は、1等4億円が過去最高の68本。12月31日の抽せん日には億万長者が最大204名誕生するというから、数寄屋橋交差点の宝くじ売り場に長蛇の列ができるのも無理のないことであろう。

 などと書くと、

 「宝くじを買うなんて損に決まってるじゃないか」

と教えてくれる親切な人が、必ず周囲に1人や2人はいるはずだ。

 現に私も新入社員の頃に職場で宝くじについて熱く語っていたところ、コンサルタントの先輩から宝くじを買ってはいけない2つの理由というのをイタいほど聞かされた。

 その理由を先輩の口調で言うと、こういうことになる。

「ひとつ! 宝くじの払い戻し率は50%以下だ。お前らが買う宝くじの売上の半分は、お上に税金で持っていかれるんだぞ。ラスベガスのルーレットの払い戻し率は95%、競馬は80%。それでも儲かるのは胴元だけだ。払い戻し率50%のギャンブルなんて絶対にペイするわけがない」

「ふたつ! ジャンボ宝くじで1等になる確率がどれくらい低いか知っているのか?交通事故で死ぬ確率のほうがよっぽど高いんだぞ。お前は自分が交通事故で死ぬなんて思っていないだろう。だったら宝くじにだって当たるはずがないじゃないか!」

 とまあだいたいこの2つの強靭なロジックで、若者のあぶく銭への夢は一刀両断に斬り捨てられることになる。

 さて、この先輩のような意見を信じて「ジャンボ宝くじを買うのは割に合わない。宝くじなんて買わない」と決めている方へ、その結論は間違っているかもしれないという話をします。ちなみにこのお話、論理学の少しマジメな勉強になる話なので、そのつもりで心して読んでください。

●「宝くじは損」は事実として正しい?

 ひとつはっきりさせておくと、この先輩が挙げた理由とやらは事実としては正しい。ジャンボ宝くじで6億円目指して10枚連番の宝くじを購入した場合、購入金額は3000円だが、平均の払戻金はだいたい1400~1500円の間になる。つまりすべての購入者への払戻金を合計すると、払い戻し率は50%よりも少ないというのは事実だ。

 もうひとつ、1等が当たる確率は1000万分の1。前後賞を含めても1000万分の3しかない。そこで年3回のジャンボ宝くじを毎回買う行動を生涯100年間続けたとして、当せん確率は10万分の9にしかならない。億万長者になる確率は0.009%というか1万人に1人というか、そんな程度の確率だ。

 一方、残念なことに交通事故死者は年間5000名と、宝くじで億万長者になる人より1桁多い。1年だけで考えれば、交通事故で死ぬ確率は0.004%だが、生涯100年のどこかで交通事故で死ぬ確率は概算で0.4%と結構高い。

●論理的なごまかし

 つまり事実だけで考えればこの論拠は正しいのだが、実はこの先輩の論理には間違いがある。一見正しい説明に見えて、論理に2カ所ごまかしがあるからだ。

 それが何かわかりますか?

 できればここで一旦画面から目を落として、先輩の論理のどこに間違いがあるのかを考えてみていただきたい。

 さて、論理のごまかしのその1は、「払い戻し率50%のギャンブルはペイしない」という論理。一見正しいように見えるが、この結論にはごまかしがある。

 わかりやすくルーレットの例で説明しよう。1万円を元手にルーレットで儲けるためには、次のふたつの戦術のうち、どちらが正しいだろうか?

(1)100円ずつ一晩中、赤の目に賭ける
(2)1000円ずつ10回、1の目に賭ける

 実際にやってみるとわかるが、(1)をやった人のほとんどは、夜明け頃には手元のお金はじりじりと減っていく。これが大数の法則というもので、赤か黒か(ないしはルーレットの場合は0や00か)という5割弱の確率で行われるゲームは、たくさんの回数ゲームを行うと結果はほぼ確率通りになることが法則としてわかっている。

 一方で(2)の戦術をとった人は、4人のうち3人はゲームを始めて1時間以内にすっからかんになる。ただし4人のうち1人は1の目を当てて36倍、つまり3万6000円の配当金を手にすることになる。

 ここでのギャンブルの目的は儲けることだとしよう。もし8人のギャンブラーが4人ずつ(1)と(2)の戦術をとったとして、翌朝に「儲ける」ことができているのは(2)の戦術をとった4人のうちの1人だけ。(1)では永遠に儲からないのだ。

 ルーレットに勝つ唯一の方法は、そうして(2)の戦術をとって36000円を手にした瞬間にゲームをやめて、部屋に戻ってウィスキーを飲むことだ。

●ボラティリティの高さが重要

 つまりギャンブルで儲けることを目的にするならば、確率よりもボラティリティ(変動の激しさ)が高いことのほうが重要なのだ。

 もしルーレットで6億円稼ごうと思うのなら、決して1万円を赤か黒かにせっせと賭け続けてはいけない。そうではなく、3億円を赤に賭けるか、2000万円を1の目に賭けたほうが、よほど6億円を稼げる可能性は“ある”。

 言い換えると、ギャンブルで6億円を手に入れようという前提で考える以上、可能性が高いかどうか(確率)や期待値が掛け金に近いかどうかよりも、可能性があるかどうか(ボラティリティが十分に高いかどうか)のほうが重要なのだ。

 だから1発で6億円当てて人生を逆転したいと思う人は、ボラティリティの高い宝くじを買うほうが正解で、宝くじよりもボラティリティのはるかに低いルーレットの赤の目に、なけなしの3億円を一発勝負で賭けるような行動をとるほうが愚かなのだ。

 おわかりでしょうが、実際、身近に宝くじを3000円投入する人と、ラスベガスに3億円持って行く人がいたら、どっちが愚かに思えるか?(そういう大企業のぼんぼん経営者もいたが……)

 その愚かさがわかれば、払い戻し率が高いルーレットのほうが宝くじを買うよりもましだという論理は、間違っていることもわかってもらえるはずだ。

 もうひとつの論理、交通事故で死ぬ確率のほうが、ジャンボ宝くじで6億円当たるよりも確率が高いという話は、どこで破たんしているのか? 

 論理がおかしいのは、「だからなんなの?(so what)」のところで論理が飛躍している点。センパイの意見通りなら「当たらないと思っているなら買ってはいけない」ことになるのだが、そこが正しくない。世の中には、当たらないと思っていても買ってもいいものはたくさんある。

 この「だからなんなの?」という点での正しい教訓は、

「だから宝くじを買うだけでなく、生命保険にも入るべきだよね」

という考え方。「確率的には宝くじに当らないだろうけれど、万一のことがあるから宝くじを買っておこう」という人は、「きっと交通事故にはあわないだろうけれど、万一のことがあるから生命保険に入っておこう」と考えるべき。これが論理的に正しい解釈だ。

 実際、かくなる私もジャンボ宝くじは年間3回、3000円ずつしか買っていないが、生命保険には毎月3万円ずつお金を支払っている。これが論理的な大人のお金の使い道ということなのだ。ただし幸いなことに、まだ交通事故死もしていないし、一夜にして億万長者になったこともない。

 ご納得いただけただろうか?

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最終更新:2012/12/26 14:00
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