テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2012年バラエティベスト3
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(よしもとアール・アンド・シー)
第1位 『アメトーーク!』「どうした!?品川」(テレビ朝日系)
第2位 『テベ・コンヒーロ』「コウメ太夫で笑ったら即引退SP」(TBS系)
第3位 『FNS27時間テレビ 笑っていいとも! 真夏の超団結特大号』(フジテレビ系)
悪ふざけの極致でお笑い好きテレビっ子にとって宝物のような番組だった『クイズ☆タレント名鑑』(TBS系)の打ち切り発表ショックで始まった2012年。芸人個人としては、バナナマンの活躍が目立った年だった。帯番組『ノンストップ!』(フジテレビ系)の司会に抜擢(設楽)、ドラマ『イロドリヒムラ』(TBS系)の主演(日村)、そしてコンビ揃って『笑っていいとも!』(フジテレビ系)のレギュラーに起用された。それだけではなく『リンカーン』(TBS系)、『みなさんのおかげでした』(フジテレビ系)、『ゴッドタン』(テレビ東京系)など準レギュラーだからこそ、その存在感が際立った。
また「孤高の天才」から脱却し、チャーミングさを隠さなくなったバカリズムや、そのど天然っぷりと底抜けのポジティブさで、有吉弘行をして「D(=出川哲朗)の名を継ぐもの」と称されるまでになった狩野英孝が目立っていた。そんな2012年のバラエティ番組を振り返ってみたい。
■大胆リニューアルに賛否両論も、我が道を突き進む『いいとも!』
30周年を迎える『笑っていいとも!』は大胆なリニューアルをしたり、伊藤修子、武井壮、久保ミツロウなど他ジャンルからの人材を積極的に起用したり、タモリ×さんまの雑談コーナーを1日限りながら復活させたり、と賛否両論はともかくアグレッシブな年だった。その最たるものが、レギュラー陣が集結し、タモリを総合司会に行われた『27時間テレビ』だった。
同番組では“出禁”の憂き目にあっていた江頭2:50が“乱入”し、久々に『いいとも!』に出演を果たしたのを皮切りに、タモリ×とんねるず、タモリ×ナインティナイン、タモリ×ダウンタウンなど、今ではなかなか見ることのできなくなった共演が次々に実現していった。その極めつきは深夜に実現したタモリ×明石家さんま×ビートたけしのBIG3共演。それは夢のような時間だった。
テレビの素晴らしさは日常の空間のまま、非日常の夢のような世界に出会うことができることだ。最後の挨拶で、タモリは「えー、テレビを見ていてくれた方々、そして見ない方にも感謝を申し上げます」という言葉に続けて、決まり文句で視聴者にマイクを向け問いかけた。
「明日も見てくれるかな?」
いつもと同じ言葉で締め、夢の世界と日常が地続きであることを示したのだ。
■短命ながらもインパクト大! 「怖さ」と「面白さ」が同居した新たな笑い
2012年3月にあえなく終了してしまった『クイズ☆タレント名鑑』のスタッフらが深夜に放送時間を移し再び集結したのが『テベ・コンヒーロ』(TBS系)だった。この番組の真骨頂といえるのが5月29日に放送された「コウメ太夫で笑う芸人など存在するのか?」という疑問を検証した「コウメ太夫で笑ったら即芸人引退スペシャル」だ。
コウメ太夫といえば、賛否が渦巻いていた『エンタの神様』(日本テレビ系)をある意味で象徴する芸人。ゲストの有吉弘行やおぎやはぎも口々に「コウメ太夫で笑ったことなんてない」「そもそも『エンタ』で笑ったことはない」と言い合い、「確かに笑ったら引退するくらい」だと企画に乗っかる中、コウメが登場。そのコウメ太夫は目を、耳を疑うくらい、想像を超えてヒドかった。そのヒドさに爆笑するしかなかった。と同時に芸人としてどこか壊れてしまっているであろうコウメ太夫の、深いようで薄っぺらい闇と虚無感に戦慄すら走ったのだった。壊れ行く芸人の末路をさらに叩き潰すような、残酷な見世物小屋のような世界。「裏笑い」とは質の違う「怖さ」と「面白さ」が同居した、新たな次元の笑いが誕生したのだ。
同番組は、このほかにも「出川を目の前で見て笑わない人など存在するのか?」「テツandトモの『なんでだろう』全て解決SP」「RG責任取材、本当のあるある」「街角あの人〇〇っぽいインタビュー」など悪意とバカバカしさに満ちた企画を連発。フルスイングの悪ふざけでわずか6カ月という短命に終わったが、それ故にそのインパクトは絶大だった。
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