この冬一番の泣ける! スター性・演技力・歌唱力を兼ね備えた豪華俳優陣の競演『レ・ミゼラブル』
#映画
12月21日(金)、TOHOシネマズ 日劇他、全国ロードショー/配給:東宝東和
今週は、この冬一番の泣ける映画、ヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライドら豪華競演の『レ・ミゼラブル』(12月21日公開)を紹介しよう。「ミュージカル映画はどうも苦手で……」という人にもあえてお勧めしたい、俳優陣と音楽の魅力がたっぷり詰まった感動巨編だ。
パンを盗んだ罪で19年間服役したジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、仮釈放後に再び盗みを働くが、彼をかばい、許した司教の真心に触れて改心。名を変え地方都市で工場経営者として成功し、人望を集め市長の地位を手にしていた。工場を解雇され娼婦に身を落としたファンテーヌ(アン・ハサウェイ)から愛娘コゼットを託されたバルジャンは、執念深いジャベール警部(ラッセル・クロウ)の追跡を逃れ、パリへ。美しい娘に成長したコゼット(アマンダ・セイフライド)と親子として暮らすバルジャンだったが、革命を志す学生たちがパリで蜂起したことで、激動の波に飲み込まれていく。
フランス19世紀を舞台にしたヴィクトル・ユゴーの同名小説(邦訳では『ああ無情』)を原作に、世界43カ国で上演され今なおロングランを続ける名作ミュージカルの映画化。『英国王のスピーチ』(10)でアカデミー監督賞を受賞したトム・フーパーが、スター性・演技力・歌唱力の3拍子揃ったキャスト陣と共に、撮影現場で演技しながらの歌声をライブ収録するという難題に挑戦。俳優の表情と歌の情感が自然かつリアルにシンクロする、極上のパフォーマンスを生み出した(通常ミュージカル映画は歌を別録りし、“口パク”で演じる)。とりわけ、役作りのために激ヤセし、劇中で実際に長い髪を刈ることを自ら申し出たというアン・ハサウェイによる「夢やぶれて」の絶唱は、涙なくしては聞けないはず。もちろんジャックマン、クロウの熱演も素晴らしいが、恋に目覚めるアマンダ・セイフライドの清純な輝き、報われぬ愛を捧ぐサマンサ・バークスの胸に迫る切なさなど、女優陣の存在感がより印象に残る。
映像面でも、オープニングで囚人らが巨大な船を陸揚げする造船ドックのシーンに始まり、当時のフランスの街並み、激しい戦闘シーンなど、ロケとセットとCGを巧みに融合させて雄大かつ質感あふれる背景を再現。舞台のミュージカルでは不可能なダイナミックな演出で目を楽しませてくれることから、これぞ劇場の大画面で見るべき映画といえるだろう。
格差と貧困にあえぐ人々が、自由と平等、夢と希望を求めて立ち上がろうとする姿を描いた作品だけに、タイトル通り無情な最期を遂げる登場人物が多いなど暗い面もあるが、それだけではない。カタルシスで現実の悲しみを癒やし、挫折から立ち上がり再び歩き始める勇気を与えてくれる、今の時代にも通じる普遍の力とメッセージをぜひ感じ取ってほしい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『レ・ミゼラブル』作品情報
<http://eiga.com/movie/77186/>
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