「33万2,000円」! 自身の給与を公開した元官僚が見た「霞が関と永田町」の懲りない面々
#本 #インタビュー
宇佐美 別に、古賀さんのおっしゃっていることすべてを否定しているわけではないです。中には、もっともな指摘もたくさんあります。ただ古賀さんは、もともと経産省内では組織法制や公務員制度改革のスペシャリストであっただけで、ほかの分野については素人なんです。半導体や電機、IT産業についての専門知識はないはずです。それにもかかわらず「元経産官僚」というブランドを使って、世の中にいい加減な情報を流布するのはやめてほしいということを、ブログでは言いたかったのです。
──古賀氏は、経産省内では出世ポストに就いていたんですか?
宇佐美 そこまで主流派ではないと思いますよ。ほかにエース候補はいましたし。自身で「政治家に逆らったからクビになった」などと言っているようですが、もともと経産省の同期の中では出世株ではなかったので、肩たたきに遭った。ただそれだけの話だと思います。「あの年であの経歴なら、そろそろ肩たたきに遭うだろうな」っていうのは、内部の人間が見ればわかる話です。
──元経産省という肩書でメディアに出ている人は、ほかにもいますね。
宇佐美 それは私が本書を書いた動機でもあるのですが、世の中にはいろいろな官僚OBが官庁を批判していますが、極端な人が多いですよね。官庁と喧嘩別れし、官庁に対し批判的な記事を書く人、もしくは官庁で勤め上げ、大きな成果を上げて誇りを持っている人。そういう極端な立ち位置の人が多く、ごく普通の内部にいる人間が、全体のバランスを考えて情報発信した例がいままでなかった。そういった「普通の人」が一番多いにもかかわらずです。ブログも、もともとはそういう意図で始めたんですが、あらためて本という形で幅広い論点について考えてみました。
──ただ、官僚の世界は外から見ていると見えないし、わかりづらいということもありますね。
宇佐美 省庁内部の情報発信が制限されているので、内部にいないとわからないことは多いですね。誰かが発信しないといけないと思い、ブログを始めたところもあります。省庁に限らず、日本全体として、もっと内部から発信する自由というものを考えたほうがいいと思います。例えば、報道機関が間違った情報を流したときに、それに対し、しっかりと内部の人間が反論するといったことです。そうしないと、報道機関はいま以上に権力化していくのではないでしょうか。
──マスメディアは、確かにかなりの権力を持っていますね。
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