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週刊アニメ時評 第27回

ガンダム史上屈指の空気アニメ『ガンダムAGE』コミカライズ作品を、レビューしてみた!

71BfhjMGD8L._AA1500_.jpg『機動戦士ガンダムAGE クライマック
スヒーロー』(小学館)

 「アニメ版がダメダメだったガンダムのコミカライズやノベライズは、むしろ傑作になる」というガンダムの法則が、一部のガンダムファンの間でまことしやかにささやかれているとかいないとか。

 そんな与太話はとりあえず横に置いておいて、11月末に子ども向け漫画雑誌「コロコロコミック」(小学館)で連載されていたアニメ『機動戦士ガンダムAGE』第3~4部コミカライズ版の単行本『機動戦士ガンダムAGE クライマックスヒーロー』(漫画:鷹岬諒)が発売されたので、さっそくレビューしてみよう。

 アニメ版『ガンダムAGE』は、あれこれと伏線を張った端から、それをほとんど生かすことなくただ消化していくばかり……というずいぶんとお粗末な内容となっていたが、コミカライズ版は子ども向け月刊誌での連載という縛りから、余分な伏線や登場人物はばっさりとカット。

 アニメ版ではぽっと出のボスキャラが大暴れして、取ってつけたような親子三世代の総力戦が描かれた最終決戦も、こちらはシンプルに第3~4部の主人公・キオと第2部から登場したライバルキャラ・ゼハートの戦いへと改変。第2部の主人公を務めたキオの父・アセムの手助けを得たキオが、これまで戦争に巻き込まれてきた人々の意志を継いで勝利。そして、復讐に燃える第1部の主人公にして祖父のフリットを説得し、戦争を終結させるというアニメ版では今一つ弾け切ることのできなかったキオの大活躍が描かれる。

 つまり、原作であるアニメ版の持っている「いい部分」を抽出し、余分な要素を排除して再構築しているのだ。いろんな意味でモヤッとした感が拭えなかったアニメ版にはない爽やかなラストを見ると、「むしろこちらが原作?」とでも言いたくなるほどだ。

 ところで、「コロコロコミック」連載の『ガンダムAGE』コミカライズといえば、アニメ放送スタートと同時に連載をスタートし、『クライマックスヒーロー』と入れ替わりで完結を迎えた『機動戦士ガンダムAGE トレジャースター』(漫画:吉田正紀)も忘れてはならない。

 宇宙に強い憧れを持つ少年・ダイキが宇宙キャラバン「トレジャースター号」に、父親の作ったモビルスーツ「ガンダムAGE-1」とともに乗り込み、伝説の宝物「大いなる翼」を探し求める。という王道の冒険ものといった趣の本作。子ども向け漫画雑誌らしい、ドタバタギャグと理屈抜きのアクション満載ながら、ダイナミックなSF要素を盛り込んだ壮大なストーリー展開。「なぜダイキの父親がガンダムAGE-1を作ることができたのか(『ガンダムAGE』の世界では、ガンダムは世界に1機のみである)」、「大いなる翼とはなんなのか」など、一見アニメ本編とリンクしてなさそうで丁寧に練られた設定は、読みごたえ十分だ。

 また、キャラクターやメカも個性豊かだ。これでもかと弾薬を積み込んだ、大阪弁のパイロット・コテツの愛機・コテツジェノアスや、ひたすら高機動性を追求した、猫耳美少女パイロット・ルーガの愛機・ルーガエグゼスなど、キャラとぴったりマッチしたメカが大活躍。往年のスーパーロボットものの要素と、「ガンダム」ファンも納得のミリタリ設定が共存したオリジナルの量産型モビルスーツの数々は、ロボフェチ読者の胸を躍らせることだろう。さらにダイキの駆るガンダムAGE-1も、仲間のピンチを救うべくフェニックスウェアという『トレジャースター』オリジナルの進化を果たすといった具合に、外伝のコミカライズと一言で言ってしまうにはもったいないくらい、多くのアイデアが詰め込まれているのだ。

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