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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 日・仏アヴァンギャルド映画監督2人に映画オタクのミュージシャン、J・オルークが迫る
『美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう/足立正生』公開記念鼎談

日・仏アヴァンギャルド映画監督2人に映画オタクのミュージシャン、J・オルークが迫る

グランドリュー 私は寝ていませんでしたよ。眼は閉じていたけど、寝てはいませんでした(笑)。

足立 だから僕は、彼の陰謀に引っかかったんだよ(笑)。

オルーク 自分が裸になって恥ずかしかったと言いましたが、私から見ると、ご自分のどの映画でも裸ですよ。

足立 それは結果としてね。自分の映画は結果としてそうなってるだけで。フィリップと僕がお互い裸になるならいいけど、僕だけ裸にされた。でも初めての貴重な体験だったよ。

グランドリュー 僕にとっては、足立さんが受け入れてくれた、その受け入れ方が美しかったんです。自分の思考に入り込んで、あちらに行ったりこちらに行ったりして、不思議につながっていくのです。

オルーク 確かにそのとおりで、この映画を観ていて興味深かったのは、全編を通じて足立さんが2人いるような感覚におちいったことです。弁証法的というか、しゃべっている足立さんと、それを見ている足立さんが、あちこちにいる感覚。考え方と感じ方が、絶え間なく動いている、その様を捉えているのが、この映画でとても印象的な点でした。

three-shot-02.jpg(左から)フィリップ・グランドリュー、足立正生、ジム・オルーク

■『美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう/足立正生』
政治的な前衛映画監督たちを被写体にしたドキュメンタリー・シリーズの第一作となる本作は、グランドリュー監督が2008年の初来日時に足立正生と対面し、意気投合したことが制作のきっかけとなった。このシリーズは、かつてフランスで放送されていたアンドレ・S・ラバルトとジャニーヌ・バザンによる伝説的TVドキュメンタリー『われらの時代のシネアストたち』へのオマージュでもある。
シリーズ企画:ニコル・ブルネーズ、フィリップ・グランドリュー
監督・撮影・編集:フィリップ・グランドリュー
助監督・通訳:シャール・ラムロ
音楽:フェルディナンド・グランドリュー
プロデューサー:アニック・ルモニエ(Epileptic)
2011年/フランス/74分/HD/カラー、モノクロ/16:9/ステレオ
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/bigawatashitachi/

【関連企画】
『美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう/足立正生』公開記念「特集/足立正生」

渋谷アップリンクにて開催
12月5日(水)18:30『女学生ゲリラ』
※上映後トークショー トークゲスト:足立正生、東良美季(ライター)
12月7日(金)18:30『性遊戯』
12月9日(日)18:30『略称・連続射殺魔』
12月11日(火)18:30『女学生ゲリラ』
12月12日(水)18:30『性遊戯』
12月14日(金)18:30『重信房子、メイと足立正生のアナバシス そしてイメージのない27年間』
12月15日(土)20:30『略称・連続射殺魔』
詳細:http://www.uplink.co.jp/movie/2012/4838

●フィリップ・グランドリュー
1954年生まれ。ベルギー国立高等視覚芸術放送技術院(INSAS)で映画を学ぶ。1976年に初のビデオ・インスタレーションを美術館で展示。1980年代からフランス国立視聴覚研究所(INA)と共同で新たな映像様式を創出しつづけ、作品はビデオアート、フィルムエッセイ、ドキュメンタリー、フィクションなど多岐分野にわたる。2007年にはマリリン・マンソンの依頼で、アルバム『Eat Me, Drink Me』収録曲「Putting Holes in Happiness」のPVを制作。2008年、東京とロンドンで大規模な特集上映が開催された。2012年度は米国ハーバード大学で、フィクション映画部門客員教授を務める。

●足立正生
1939年生まれ。日本大学芸術学部映画学科在学中に自主制作した『鎖陰』で一躍脚光を浴びる。大学中退後、若松孝二の独立プロダクションに加わり、性と革命を主題にした前衛的なピンク映画の脚本を量産する。監督としても1966年に『堕胎』で商業デビュー。1971年、若松孝二とパレスチナへ渡り、『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』を撮影。1974年、日本を離れ、パレスチナ解放闘争に身を投じる。1997年にレバノンで逮捕抑留され、3年の禁固刑ののち日本へ強制送還。2006年、赤軍メンバーの岡本公三をモデルにした『幽閉者 テロリスト』を発表した。

●ジム・オルーク
ミュージシャン。1969年、シカゴのアイルランド系の両親の元に生まれる。10代後半より即興演奏を始め、現代音楽とポスト・ ロックの橋渡し的な存在となる。2004年、ウィルコの『ゴースト・イズ・ボーン』でグラミー賞オルタナティヴ・ミュージック・アルバム部門最優秀プロデューサー受賞。1999年~2005年、ソニック・ユースのメンバーとして活動。また、V・ヘルツォークやO・アサイヤスといった映画監督の作品で音楽を担当。2006年より東京在住。

最終更新:2012/12/04 21:00
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