『黒子のバスケ』騒動で露呈した、大手同人企業・スタジオYOUの権利意識
#同人 #黒子のバスケ
「プライバシーの侵害になるケースは、自宅の室内や病室など私的空間に限定されたものです。誰もが訪れることのできる場所、見ることができる場所で群衆を撮影したものは該当しません。ありえるとしたら、群衆の中のひとりをクローズアップして行動を、ことさらに撮影した場合です。今回の件は、それには該当しないのではないでしょうか。(フジテレビの撮影は)東京駅前で朝の通勤風景を撮影した映像にモザイクをかけていないのと、同じです」
スタジオYOUも法人である以上、この程度のことは理解しているはず。
では、同社が執拗に撮影素材の廃棄までを求める理由は、どうしてだろうか。BL作家の水戸泉さんは語る。
「腐女子の中には、自分の趣味を職場や学校など他人に知られることを恐れる人がとても多いのです。そのため、スタジオYOUとしては顧客に対して、ちゃんと抗議している姿勢を示さなくてはならないのでしょう」
なるほど、あくまで客に対してのポーズを示す、ビジネス上の理由が先ということか。
とはいえ、「プライバシーの侵害」「無断撮影」という言い方は、ちょっと過剰ではなかろうか。
同社をめぐっては、2008年に同人誌業界の企業・団体が多く参加した「児童ポルノ法」改正案に反対する署名活動の際、「ウチの客は中高生が多いから」と参加を拒否した件が思い出される。18禁イベントを開催しながらも、そうした発言をするのが同社のスタンス。今回の一件と併せてみれば、スタジオYOUという企業が「言論・表現の自由」をどのように理解しているか、すべてが露呈してしまったと見ることができる。
なお、当日どういった理由で取材を拒否したのか、フジテレビへの今後の対応などを聞くべくスタジオYOUに取材を申し込んだが、「ホームページに掲載していること以外に、お話しすることはありません」との回答であった。
(取材・文=昼間たかし)
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