「笑いは、いじめそのもの」NHK『探検バクモン』が探求する、いじめ問題
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「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。
いじめ問題が表面化するたびに、テレビのお笑い番組が「いじめを助長している」などという批判が持ち上がる。そんな時、必ず「お笑いといじめは違う」とするお笑いを擁護する意見も出てくる。しかし、そういった意見は軽視され、テレビの笑いは少しずつ規制が多くなっていった。分かりやすい敵として駆逐し、それがほとんど効果をもたらさなかったにもかかわらず、再び問題が起きればさらに規制を厳しくする。その繰り返しである。
『探検バクモン』(NHK総合テレビ)は通常、爆笑問題が一般視聴者が見ることのできない場所へ“探検”し、時代をリードする学識者の話を聞きながら、さまざまなテーマを探求する教養エンタテインメント番組だ。
この番組では、大津の中学で起きたいじめ問題を見た太田光の「いじめについて学生たちと語りたい」という意向がきっかけとなり、「バクモンいじめ調査委員会」が発足。11月21日に73分拡大スペシャルとして放送されたのが、いじめを特集した「いじめ × 爆笑問題」だった。
爆笑問題は、フリースクールが母体になって設立された不登校経験の子どもたちが通う私立中学校「東京シューレ葛飾中学校」を“探検”し、いじめへの取り組みを紹介しながら、尾木ママ(尾木直樹)、はるかぜちゃん(春名風花)、ROLLY、志茂田景樹ら異色メンバーに、いじめられた経験を持つ学生たちが加わり、いじめについての討論会が開かれた。
「僕の子どもの頃は、いじられるのも楽しんでいたところもあった。今は陰湿」という志茂田に対し、太田は「昔といじめは変わったっていうけど本当かな? って思うんだよね。それほど変わるもんですか?」と問題提起する。番組では、いじめに対する漠然とした先入観を否定し、「いじめは日本だけの現象ではない」「いじめっ子はいじめられっ子にもなる」「いじめは仲のよい子の間で起こる」という3点を大きな特徴として挙げ、分析した。
この手のテレビ番組などで行われるいじめの討論では、多くの場合、出席者のいじめられた体験ばかりが語られる。しかし、先の特徴でも分析されているように、いじめられた人のほとんども、いじめた経験はあるはずだ。しかし、それが語られることは少ない。それこそ、いじめられたことは本人にとって深刻な問題であるが、いじめたことは大した問題ではない、といういじめの性質そのものだと思う。そういう意味において、黒人のハーフの少年がその容貌から「ボブ」と呼ばれ嫌だったという告白をした時、「俺、絶対言っちゃいそー!」と悪者を引き受ける太田の言葉は、ほかの人たちの言葉よりも胸に迫ってくるのだ。
「僕自身が田中とコンビやってると、『こいつ片玉ですから』『チビだから』ってやるわけですよ。そうやると、ワッとウケるんですよ。でも別の角度からすれば、いじめですよ」
からかいといじめの線引きは、非常に曖昧である。悪意を持って「チビ」と罵るのも、愛情を持って「チビ」と呼ぶのも、表面上は同じだ。
「こいつ(田中)が突然自殺したら、これはもうお手上げなんです、僕らは。それをやってもおかしくないことを言いますから。で、たぶんそういうことは学校でも起きてるんじゃないか」
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