【上杉隆記事剽窃疑惑】対応ミス連発のTOKYO MX、面白発言が炸裂!
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【上杉隆記事剽窃疑惑】対応ミス連発のTOKYO MX、面白発言が炸裂! – Business Journal(11月22日)
あの山本一郎氏が、ついに話題の“元ジャーナリスト上杉隆氏の記事剽窃疑惑騒動”に参入!
上杉隆氏の読売新聞記事剽窃問題で、同氏がその疑惑払拭のために釈明の場として選んだTOKYO MX『5時に夢中!』に対して、良からぬ関心が集まり始めている。
東日本大震災で発生した福島第一原発事故での各国在日国民への対応内容について、読売新聞が各国駐日大使館に電話取材を行い新聞記事およびウェブで公表した図とそっくり同じものが、上杉氏の発行するメルマガやダイヤモンドオンラインにおいて無断で転載され、さらに上杉氏の著書において「著者調べ」として記述されていた問題である。
もともと上杉氏に対しては、この問題のみならず、さまざまな疑惑や懸念が指摘されてきた。現在ネット上では有志の手によって『上杉隆氏についての検証 – @wikiパーツ』なるものが立ち上げられている。
ここには例えば「週刊朝日」において上杉氏が、自由民主党・福田康夫元首相が『公文書廃棄疑惑』なる記事を執筆し、これに福田氏側が事実無根と抗議すると、朝日側は「事実関係の確認が取れない」として担当のデスクを降ろし、謝罪記事を掲載した。また、「週刊文春」上での上杉氏の記事において、選挙事務所に関する捏造記事を書かれたとして安倍晋三元首相(現・自民党総裁)より抗議を受け、文春側が事実関係の精査を行うと対応した事例が残っている。
このように一部ジャーナリストとしての活動において問題提起を行い、経緯の是非はあれ自由報道協会の立ち上げと運営に奔走したと評価する声があるものの、これらの上杉氏の「遍歴」は厳密な取材に基づかない捏造を含むものと指摘され批判を受けるのもやむを得まい。
今回のTOKYO MXの問題においては、2012年10月26日放送の『5時に夢中!』内で上杉氏が自ら希望して、記事盗用に対する釈明の時間を取るよう、MX側に要請をして承諾され、放送されたものであるという。ところが、ここで上杉氏が一方的に語った内容もまた、事実関係が確認できない捏造を含むものであるとして、むしろ騒動に拍車をかけてしまった。
中でも、池田信夫氏に対する上杉氏の事実に基づかない批判については、池田氏から申し立てを受けた場合には、“放送法9条”に基づき義務付けられている訂正報道を行わなければならないレベルであることは自明だ。
具体的に見ていこう。上杉氏が番組中に述べた池田氏に対する批判の最たるものが、池田氏は批判を恐れてすでに行ったツイッターでの発言を削除した、というものである。そのままの発言を引用すると「これ池田さんが自分で言ってたのを、それを全部消して、証拠隠滅していまは逆のことを言っているんです」という内容となる。『上杉隆氏についての検証 – @wikiパーツ』で文字起こしされたものも、筆者が入手した番組映像で上杉氏が語った内容とまったく同じものであり、この内容は客観的に事実と考えてよいだろう。
そして、池田氏が削除したとされるツイート内容は、URLを叩けばいまなお池田氏のツイートとして表示されており(下記URL参照)、上杉氏が池田氏に対して「証拠隠滅していまは逆のことを言っている」という批判の根拠がまったくなく、はっきりと捏造であることが分かる。
https://twitter.com/ikedanob/status/46544364264099840
https://twitter.com/ikedanob/status/47537414033514496
https://twitter.com/ikedanob/status/46491222621163520
http://www34.atwiki.jp/ddic54/pages/85.html)
確かに、東日本大震災の直後において、池田氏がすべてにおいて正しい発言をしていたかといわれると、微妙なところはある。しかし、少なくとも池田氏には地震で混乱する日本社会や日本人に対して、彼の知る限りの放射性物質に関する知識を動員して、望ましい行動を個人の信用とリスクに基づいてツイッター上で展開しただけであって、仮に、後に彼自身が原子力発電所稼動のリスクと経済性を考え直して主張を一部変更したとしても、それをただちに彼自身に対する批判に直結させるべきとはいえない。それだけ、大事件であった東日本大震災と福島原発事故は人間の平常心と冷静さを一時期奪ったのであり、また一億歩譲って池田氏のツイートに問題があり、批判の対象とするべきだと認めたとしても、彼のツイートをやり玉に挙げたところで、上杉氏自身の読売新聞からの記事盗用の疑惑解消にはまったく寄与しない。
ほかにも論点は複数あるが、さてこれらの問題について、TOKYO MXは一連の放送をどう考えているのだろうか。ビジネスジャーナルの平野遊氏、およびビジネスジャーナル編集部(以下、BJ編集部)の取材協力を得て、TOKYO MXに対して質問を試みた。返答を頂戴したのは、MX編成部長、茅根由希子さま名である。
少し長いが、正確を期すために質疑を全文引用しよう。(原文ママ)
「BJ編集部:またそのあと、この盗用疑惑に関して上杉氏を批判しているジャーナリストの江川紹子氏を仄めかす表現で、「ツイートを削除して証拠隠滅をしている」と批判する場面がありましたが、そのような事実はないようです。同様に、経済評論家の池田信夫氏についても、「ツイートを削除して証拠隠滅 を測った」旨の批判を行なっていましたが、こちらもそのような事実がないことが明らかとなっております。つまり上杉氏は事実に基づかない批判を行い、それが放送されてしまったことになるわけですが、これについてはどのようにお考えでしょうか?
茅根:そもそも、ここでのご質問で貴社が前提とされている事実自体、真実かどうか明らかではありませんので、この点についての回答は差し控えさせていただきます。ただ、今回、上杉氏が池田氏のツイートについて「3つ削除されている」と発言している点については、当社で事実関係を確認したとこ ろ、実際には、2つについては、現在、池田氏のツイッターにおいて確認できないことから削除されていると考えておりますが、1つについては、現在 も池田氏のツイッッター上で確認できることが判明しましたので、この点については、事実誤認があったものと理解しております。なお、『5時に夢中!』は、報道番組ではなく、コメンテーターの自由な発言を特徴としている生番組であり、コメンテーターの言動一つ一つについて事前にプロデューサーが真実かどうかを確かめることは困難であることから、そのような対応はしておりません。」
一連の質疑を読んでいて頭を抱えたのは、TOKYO MXが仮にも放送法の枠内で営業を行っていながら、上記3ツイートのURLをみれば分かる程度の事実関係の確認すらも怠り、「実際には、2つについては、現在、池田氏のツイッターにおいて確認できない」などと回答をしてきている点である。
また、回答において「コメンテーターの自由な発言を特徴としている生番組」とあるが、プロデューサーが事前に確認できるかどうかは別として、すでに行われた放送内容において問題が起きているのだ。情報番組は報道番組ではないので、放送内容に確認義務を生じさせないということはあり得ない。
これらの状況を見て想起するべきは、2007年に発生した関西テレビ製作のバラエティ番組『発掘! あるある大事典』(フジテレビ系)において「実際には行っていない実験データを放送し、効果を誇張していた」と発表し、データの捏造があったとして、当時の関西テレビ・千種宗一郎社長(62)が記者会見を開いて陳謝する事態に発展。さらにそれでは収まらず、日本民間放送連盟(民放連)から除名処分を受けた。
捏造に関して言うならば、放送内容に誤認があり、その報道による被害者がいる場合は特に、報道番組かどうかにかかわらず、放送局が責任を持たなければならない。
通常の週刊誌であれ、事実誤認が確定した場合は、確認を怠ったとしてデスクが飛ばされるのである。放送法に縛られるテレビ局が編成部長の名前で「まだ事実確認を行っていません」と回答するというのは、常識的には考えられない対応である。
一連の『5時に夢中!』における上杉氏の起用に関しては、別の問題も浮上している。TOKYO MXの制作部の、いわゆる「反原発」運動について積極的なスタッフが、上杉氏の起用継続を進言しているというのだ。
現在『5時に夢中!』に出演している、あるタレントの所属する事務所では、取材に対して「私どものタレントが反原発活動に対して積極的ということではなく、番組の方針としてそのような内容になったため、場を盛り上げる目的でそのような発言をすることもある。必ずしも、所属タレントの個人的な見解を正確に意味するものではない」と回答している。番組の台本についても、独自に入手した情報によると<当該時間帯については上杉氏の発言に沿って進行する>としか記述されておらず、発言者の自由を最大限尊重した内容となっていた。これでは確かに、上杉氏の釈明放送の内容に関して事実に基づかせるチェックもできまい。また、本件上杉氏の捏造放送疑惑の問題に限らず、TOKYO MXにおいては、放送内容をめぐって編成部と制作部の間で見解が違い、対立することも多いという。
現在、ビジネスジャーナル編集部では、疑惑解明のためにTOKYO MXに対する追加質問を行う一方、放送倫理・番組向上機構(BPO)からも一部回答を得ており、総務省および民放連にも取材を進める予定だ。
そして、一時期上杉批判で舌を振るった池田氏に対して、その発言の場であったNHNジャパン運営のサイト・BLOGOSおよび池田氏の言論を支える法人であるアゴラ出版に対し、上杉氏は名誉毀損の訴えを起こしたという(現在、池田氏やBLOGOS編集部の手元に訴状が届いておらず、内容は不明)。信平狂言事件(※96年、創価学会の地方婦人部長だった信平信子さんが、名誉会長池田大作氏に強姦されたとしておこした訴訟。池田氏側は、発生から二十年を経過した事件は裁判に付さない、という民法規定を用いて主張し、裁判の終結を求め、裁判所もこれを認める判決を出した)とまではいかないが、内容によっては訴権の濫用とも言える微妙な筋の問題であり、舞台は法廷に移される可能性もある。
このとき、致命的な対応ミスをしているように思えるTOKYO MXは、どのように証言するつもりなのだろうか。
(文=山本一郎)
●山本一郎(やまもと・いちろう)
2000年、IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作を行うイレギュラーズアンドパートナーズ株式会社を設立。ベンチャービジネスの設立や技術系企業の財務・資金調達など技術動向と金融市場に精通。2007年より、総予算100億円超のプロジェクトでの資金調達や法人向け増資対応を専門とするホワイトヒルズLLCを設立、外資系ファンドの対日投資アドバイザーなどを兼務。
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