「ロンブー亮は“できる奴”」『リストラ芸人』Hi-Hiが放り込んだ18年の道程
#お笑い #インタビュー
――オーディションで初めて見たときからロンブーの2人の印象は強烈だったそうですね。
上田 はい、芸人が大勢並んで、順番にネタをやっていくみたいなオーディションで、僕らの前の前ぐらいがロンブーだったんですけど、鮮明に覚えてますね。いい意味で威圧感というか、オーラがありました。
岩崎 前のめりな感じが、すごく伝わってきたんですよ。それに圧倒されたというか。
上田 その前にあいつら、路上とかでもお笑いをやってたから、自信があったんでしょうね。路上で150人とか集めていて、劇場に出始めの頃から、もうキャーキャー言われてましたから。路上でやってたときのファン150人を劇場に連れてくるんですよ。そうすると、新人がたくさん出ている中で、あいつらが出て行くときだけ「キャー!」ってなるじゃないですか。それを見た吉本の上の人が「あいつら、なんで初舞台なのにキャーキャー言われてるんだ?」って思うはずだと。それも、亮が作戦でやってたらしいんですよ。そうじゃなかったら路上でやってた意味がないじゃん、って。常にそういう作戦を考えるやつだったんです。
――その頃、Hi-Hiは自分たちの笑いに自信が持てなくて、低迷していたそうですね。
上田 低迷どころか、楽屋にも入れませんでしたから。面白いやつはいっぱいいるし、みんなに萎縮しちゃって。ちょうど松本人志さんの『遺書』(朝日新聞社)が出たときで、それを見てみんなが影響を受けて、とんがってる時代だったんですよ。先輩とかも本当に怖かったんです。ネタ合わせなんて誰もしてなかったもんね。なんか、ブラッと舞台に出て立ち話して笑い取って帰るのが格好いい、みたいな時代で。みんなすげえな、と思ってましたね。そんな時代で、俺らはみんなにバレないようにそっと屋上でネタ合わせやってた。なあ?
岩崎 あの当時、僕にいたっては、何をしていいのかさえわかんなくて……。
上田 お前は今もわかってないだろ? そこはブレずに。
岩崎 いや、「ブレずに」じゃないよ! 今もそうですけど、よりわかんなかったというか、ずっと棒立ちみたいな感じでしたね。
――その後、紆余曲折を経て、1~2年前に漫才のスタイルをガラッと変えて、すべてをアドリブに近い形で構成するようになったそうですが、きっかけはなんだったんですか?
上田 僕が飲み会とかで思いついたことを適当にワーッと言ってると、ものすごいウケるんですよ。芸人仲間もみんな面白いって言ってくれて。流れ星の瀧上とかにも「これを舞台でやったらいいじゃないですか」って言われたり。それでちょっとやってみようかって思って、ある日舞台でやってみたら、自分でもやりやすいんですよね。僕の人間性がそういう感じなので、のびのびできるというか。
岩崎 それで明らかにウケるようになったんですよ。
――最後に、この本はどういう人に読んでほしいですか?
上田 何していいかわかんなくてボーッと大学生やってる人とか、悩んでる人とかに読んでほしいですよね。いろんな人に読んでいただいて、僕らの人間性を知ってもらえたら、Hi-Hiっていうコンビの見方も変わると思うんで。読んでほしくないのは、超面白いやつですね。これ読んで芸人になろうと思われると敵が増えるんで。つまんないやつには、どんどん読んでほしいです(笑)。
(取材・文=ラリー遠田)
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