ライブドア元幹部が語る、ホリエモン仮釈放支援に取り組むワケ
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ライブドア元幹部が語る、ホリエモン仮釈放支援に取り組むワケ – Business Journal(11月12日)
2006年1月、有価証券報告書虚偽記載の疑いなどで、六本木ヒルズのライブドア本社に東京地検特捜部が家宅捜索に踏み込んだ。世にいう「ライブドア事件」である。同社社長のホリエモンこと堀江貴文氏らは、証券取引法(現・金融商品取引法)違反で逮捕、起訴され、時代の寵児は、一転してバッシングの的に転落した。11年4月、最高裁は堀江氏の上告を棄却し、懲役2年6カ月の実刑が確定、現在は長野刑務所で服役中だ。
近鉄バファローズやニッポン放送買収、そして上記の事件など、絶えず日本中に話題を振りまき、加熱するメディア報道の渦中に居続けたライブドア。そんな同社の取締役として、経営の中枢に身を置き、堀江氏も厚い信頼を寄せていたのが、熊谷史人氏である。
熊谷氏は現在、「堀江貴文の早期仮釈放支援の会」(以下、支援の会)発起人として、署名募集など積極的に活動を行っている。そんな熊谷氏に、
「なぜ堀江氏の早期仮釈放を求めるのか?」
「加熱するメディア報道によりねじ曲げられた、ライブドア騒動の深層」
「堀江氏の素顔、そして刑務所で生活を送る今」
「基準があいまいな仮釈放制度の問題点」
などについて聞いた。
ーー熊谷さんが、堀江さんの早期仮釈放を求める運動をなさっている理由はなんでしょうか?
熊谷史人氏(以下、熊谷) 一番の動機は、堀江さんが人間として好きだからです。ライブドアに入社してから、仕事上の付き合いは4年間くらいなんですが、その頃はプライベートな付き合いはほぼゼロでした。大きいビジョンを掲げ、世間のことを真剣に考えて、素直でシャイでいい経営者だなと尊敬していました。
ライブドア事件の裁判後、プライベートな付き合いが始まりました。そこでわかったのは、堀江さんは、おちゃらけて優しく、どこにでもよくいる人ですね。ともかく人を差別しないので、有名な人もそうでない人も、正面から向き合って接し、仲良くなれる。
ですので、「堀江さんを早く刑務所から出したい」と思う人は結構いるんですが、社会的な立場などから公には言いにくい方が多い。署名活動にしても、誰も手を挙げていなかったので、「私くらいしか、やる人がいないんじゃないか。堀江さんと一緒に経営をし、事件の内容も知っていて、反省の態度も知っているのは私だ」と思い至り、動こうかなと。
ーー仮釈放を求める活動には、どういった方々が賛同しているのですか?
熊谷 ジャーナリストの田原総一朗さんですとか、上杉隆さん、勝間和代さん、野口美佳さん、ビームスの設楽洋さん、サイバーエージェントの藤田晋さんなど、各方面から多くの方に賛同いただいています。
ーー刑務所の中での堀江さんは、どのようなご様子ですか?
熊谷 まじめに刑期を務めています。仕事は、刑務所内にいる老人のお世話、介護ですね。刑務所内の生活態度が良いということで、外部の人と面会できる回数も増えました。丸坊主になって、80キロくらいあった体重も65キロほどに落ちて。
スリムになって(笑)、もう別人みたいです。ただ、健康状態はあまり良くないので、そういった部分でも弁護団は早く出所させたいと。
ーー熊谷さんは、どれくらいの頻度で面会をされているのですか?
熊谷 3月に会ったきりです。今月から面会数が増えたので、また行けるかなと楽しみにしています。
●かばってくれなかった悔しさ
ーー熊谷さんをはじめとして、堀江さんの早期仮釈放を求める声もある一方、宮内亮治元CFOなど、元ライブドアの人で堀江さんのことを悪く言っているように見える人もいます。その違いというのは、どこから生まれてくるのでしょうか?
熊谷 実は宮内さんも、「堀江さんは頭いいからなぁ」と今でも言ってますよ。悪く言うことがあるのは、捜査と公判の過程で、堀江さんが事件対応について明確なビジョンを示してくれなかったという「悔しさ」があるんじゃないでしょうか。
小さな話ですが、当時の幹部たちにだって「これからの自分の生活はどうなるか」という不安もある。そうした中で、堀江さんがリーダーシップを発揮できなかった。すべての責任を部下に押し付けて、「自分は知らなかった」というスタンスを貫いてしまったように見えた。甘えかもしれないけど、「僕らをかばってほしかった」という気持ちはあった。「最後の最後で庇ってくれないのかよ。堀江さんはキャッシュがあるからいいかもしれないけど、俺たち金ないぞ」みたいな(笑)。
ーーそれでも熊谷さんは、事件後プライベートでも堀江さんと付き合って、支援されているというのはなぜでしょうか?
熊谷 堀江さんは裁判を通じて、一貫して無実を主張したのが、「らしいな」と思ったんですね。あれだけ突っ張っておきながら、執行猶予もらうために「やっぱり違法だと知りながらやっていました」と変わっていたら、尊敬の念が薄れたと思いますが、最後まで言い通したのが「ようやるよ」と(笑)。それは、ライブドアという会社を守るための、創業者、経営者としての姿勢だったんでしょう。
ーーその姿勢は正しかったと?
熊谷 堀江さんが主張を貫いたおかげで、「上層部がグルになって不正なことをやっていた」というのではなく、「役員たちは一生懸命やっていたけど、『国策捜査』のなかで捕まってしまったんだな」という考えが、世間の人々の中に芽生えるわけじゃないですか。
●国策捜査
ーー「国策捜査』の話が出ましたが、当時、特捜部の最高幹部が「額に汗して働く人々やまじめな企業が出し抜かれることのないように、不正に利益をむさぼる者と闘うんだ」という趣旨のことを言い、それを支持する空気の下で、ライブドア事件の捜査や公判が進みました。
熊谷 私たちは、十分に汗をかいていました。お客さんの要望に応えるものを設計して作り上げる。建築屋さんと変わらない。ただそれが木材やコンクリートを使わないだけで、それが「額に汗をかかない」ということではないのではないでしょうか。
ーー「本業の実態」がちゃんとあったと。
熊谷 当時、ポータルサイトの個人の利用者は2000万人弱、グループ全体の法人のクライアント数でいうと数万社あったはずです。ホスティングといって、インターネットのホームページをお預かりして運用しているところだけで数万社。そのほか、iモードのサイトを作るなどのウェブ制作や、弥生という会計ソフトの開発も手掛けていました。
ーー「ライブドアは、金にものをいわせて小さい企業=弱者をどんどん買収している」というイメージも広められ、「土地転がしの会社版だ」というような批判もされましたね。
熊谷 当時は、インターネットサービスの利用者の導線というのは極端にポータルサイトから入っていたのですね。ヤフーなどのポータルサイトで検索をして、サービスに辿りつく。つまり、小さいサイトはどこかの大きなポータルサイトと一緒にならないと立ちゆかなかった。ですので、ポータルサイトを運営しているライブドアに株を売ることはウエルカムな企業は多かった。会社の買い手候補がいくつもあった中で、堀江さんは買った後はその会社に経営を任せるタイプで、しかも技術畑なので技術者の気持ちもわかるので、いろんな会社がついてきました。買収した後で売った会社もない。「売り買い」じゃなく「買うだけ」です。
●お金に苦労していた堀江氏
ーーライブドアという会社だけではなく、堀江さん個人についても、「金の亡者だ」というイメージがメディアによって広められましたね。
熊谷 堀江さんは世間に思われているのとは異なり、実際にはずっとお金に苦労した人です。ニッポン放送の事件まで、彼個人は借金の方ほうが多かった。いつも「どうやって税金払おうか」と悩むぐらいでした。。
ーー経営者としての堀江さんを、熊谷さんはどのように評価されていますか?
熊谷 「ビジョンを提示する」という面ですごいのと、ライブドア社員は個性豊かな人間、変わり者が多かったですが、その部下たちをよく束ねたなと。みんな自己主張も強いし。やっぱり、カリスマだったのかな。細かいことにもうるさかったですね。1億円クラスの案件についてはぽんぽん決裁していくのに、クリアファイルやボールペンの発注などについては細かかったり(笑)。
●プロセスがあいまいな仮釈放制度
ーー「支援の会」の話に戻りますが、仮釈放というのは、どんな場合に認められるんですか?
熊谷 刑法28条に定めがあって、「刑期の3分の1が終わっている」ことが要件です。法務省の管轄で地方更生保護委員会というところがあり、そこで決まるのですが、決定プロセスがブラックボックスになっていて、外部からではよくわからないのです。裁判員制度になったことも踏まえ、透明化されるべきだと思っています。
ーーガイドラインはないのですか?
熊谷 ええ、数年前も公の審議会で、「仮釈放制度を、もっと明確化すべきでは?」という議論はあったのですが、棚上げになっています。ただ「厳罰化の流れ」の中で、実質的な刑期は長くなっているようですが。
ーー同委員会が仮釈放をするかどうかの判断をする際、「国民感情」も考慮されるとのことですが。
熊谷 はい。「社会の感情が仮釈放を是認する」という基準がありますので、「是認する」ということを示すという部分で署名が必要なんです。特に堀江さんの逮捕は、「社会の感情」も後押しした感があるので、「仮釈放を求める声もありますよ」ということを法務当局に届けたい。
ーー堀江さんに対する反感は、庶民感情としても、特捜部に代表される国家的意思にもあったと思うんですが、そのあたりは変わってきたという印象ですか?
熊谷 「堀江、ムカつく」っていう感情は、まだ根強いんじゃないでしょうか。仮に私が仮釈放を判断する立場にいて、国の意思も含めて堀江さんが逮捕されたという理解に立つとするなら、早期の釈放というのは簡単な話ではないという自覚もあります。
ーー感情の話はさておき、経済事件で、役員個人がこれだけ償ったケースは珍しいでしょうね。
熊谷 堀江さんは、個人で約200億円償っています。「株主のために経営してきたのに、株主に損をさせてしまうというのは申し訳ない」と、できる限りのことをしてきました。刑事上の責任については有罪判決を受け、現在も服役しています。
ーー「支援の会」の具体的な目標は?
熊谷 現時点で4000人くらいの署名が集まっていて、最終的には5万人くらい集めたいですね。事前に大学生のチームが9000人くらい集めているので、そことも連携していこうと思います。支援の会で立ち上げたホームページで、どなたでも簡単に署名できるので、多くの方にご協力いただきたいと思っています。
ーー最後になりますが、熊谷さんご自身は、現在どのようなお仕事をなさっているのですか?
熊谷 現在は、地道に個人でコンサルタントなどをしています。いろんなところにネットワークを広げながら、ライブドア事件に関する裁判がすべて終わったら、頑張ろうかなと。
ーー今後、自分で会社を経営されたりする可能性はありますか?
熊谷 一番いいのはサラリーマンですね。誰も雇ってくれないかな……でも、結構向いてると思いますよ(笑)。
(構成=北健一/ジャーナリスト)
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