ロリコンはやっぱり永遠にロリコンだった……のか?『改訂版 ロリコン大全集』
#雑誌 #出版 #昼間たかしの「100人にしかわからない本千冊」
1983年(時勢を鑑み、編集部で修正を
入れております)
どれだけ目を背けても、日本のオタク文化は、ロリコン(実写含む)とは切り離すことができない。オタク文化の愛好者が、近年問題になっている「児童ポルノ」と称される虐待の結果としての生産物を楽しんでいると主張したいわけではない。オタク文化が、その源流において少女愛と同居していたことだけは、紛れもない事実である。今回紹介するのは、その時代性を象徴する貴重な資料である。
多数の少女ヌードが掲載されている本書だが、そこは興味ないし、掲載したら「日刊サイゾー」もろとも通報されかねない(念のため、表紙も修正済み)。それに、単なる子どものハダカに、今のところは資料的価値を見いだせない。それよりも大切なのは、ページをめくった先にある作品群である。
少女ヌードのページが一段落した後に始まるのは、吾妻ひでおによる漫画『仁義なき黒い太陽 ロリコン篇』だ。この短編は、当時のロリコン界隈の人脈をネタにした不条理漫画である。「フリーロリコン もとFP組 緒方」が路上でロリコン本を売っているシーンから始まる物語は、「ロリコン界ではすでに神格化した存在である蛭児神建は人気美少女画家・内山亜紀と手を組み、関東統一を目指していち早くコマを進めていた」となり、「早坂えむ」に「岡田としお」「破李拳竜」とか、名前の一部を換えているのと換えていないのと、ごっちゃになりながら何もまとまらずに「第一部完」となる。まさに、本書のカオスさを象徴する作品だ。
「とにかく“大全集”の看板に偽りなく、ロリコンに関するものは全部詰め込みました」と各々のページが主張し、とくに実生活では役立たない無駄な知識を、懇切丁寧に教えてくれる。「ロリコン用語の基礎知識」なんかは、まさにそう。「スクール水着」の項目では「新宿区立富久小学校のスクール水着は黄色だそうだ。おまけに赤と黄色のダンダラの帽子をかぶるんだそうで、こういうのは許せないような気がする」と書き手が主張を始め、「破瓜」の項目では「少女凌辱の儀式」と、ゆがんだ性癖を露わにしてくるではないか……。いや、こんなこと書いているヤツが、発行から30年近くたっているのにまだ逮捕されたとは聞かないから、よほどヤバイ性癖の持ち主でもやっぱり現実世界では一線引いているんじゃないかと納得してしまう。
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