ブラック企業は今すぐ辞めないと、人生でこんなに大損失を!?
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ブラック企業は今すぐ辞めないと、人生でこんなに大損失を!? – Business Journal(11月6日)
(宝島社/別冊宝島編集部)
本サイトに掲載された『現役ブラック企業社長が、社員を安くこき使う華麗な手口を暴露!』という記事が話題になっている。非常に興味深い半面、「この程度の経営者なら世の中にいくらでもいるのだろう」とも思うが、自分のわずかな経験を書いてみたい。
●ブラックなコンビニでアルバイトをすることに
随分昔の話になるが、アルバイトで、しかもごく短期だが、ブラックと言って差し支えのないお店で働いたことがある。そのお店はコンビニエンスストアのフランチャイズ店だったが、初日からアルバイトの先輩におかしなことを言われた。「ウチのお店って1週間でやめる人とか普通にいるんですよね。なので、できれば長期で働けるように頑張ってください」
この時点で嫌な予感がしたのだが、予感は的中した。まず始業前と休憩中、そして就業後、全部あわせると一回の勤務で30分以上の時間外業務が、すでに仕事の流れに組み込まれている。「サービス残業って、正社員がやるもんじゃなかったんだ……」と驚いたことを覚えている。
当然人が居着かず、常に少ない人数で仕事をやっているので、まったく仕事が終わらない(ひどい場合は私1人しかいないシフトも)。店内も掃除は行き届かず、品出しもちゃんとできていなくてボロボロだ。場所が良いので客は来るが、そのお店の価値はそれだけだった。
「人が少ないんだから仕方ない」と経営者もあきらめているのかと思いきや、そういうわけでもなく、バイト歴1年以上でそのお店では「ベテラン」の人でも、細かな部分で厳しく叱責されていた。よっぽど暇なのか、友達がいないのか、長時間の叱責は毎度のことだった。バイトの質が低いと口癖のように言っていたが、この環境で質の高い人材が残ると思っているのが不思議でしょうがなかった。そしてレジで1円でも誤差が出ると、全額バイトの負担となっていた。
そんな状況なので、いつもピリピリしているアルバイト店員もいた。新人に当たり散らすバイトリーダーのせいで、自分が在籍している短いあいだに、入ってすぐに辞める人が数人いた。
●ブラック企業で思考停止する人たち
周りの人に「なんで辞めないんですか?」と聞いても、あまり明確な答えは得られなかった。「辞めると生活できないでしょ」とも言われたが、社員ならまだしも、バイトにもかかわらずほかで働くという選択肢が頭にないようだった。「休憩時間や時間外に働かされてもおかしいと思わないのか?」と聞くと、「仕事が終わらないから仕方ない」と言う。「いや、それは違うでしょう」と言いかけてやめた。
ブラック企業で辞めずに働く人の思考停止状態というのは、こういうものなんだなと、ある意味で勉強になった(当時はまだ、ブラック企業という言葉はなかったが)。残っている人は「2000円くらいの時給を払ってもいいのでは」と思うほどバリバリ働いている人ばかりだったが(どう考えても、1人で2人分以上働いていたので)、明らかに心を病んでいそうな人もいた。
自分は現在、個人事業主として独立して働いているくらいなので、理不尽を通り越して違法な環境で黙々と働くほど従順でもお人よしでもない。そのアルバイトも、働き始めてから1カ月後には「辞める」と経営者に伝えた。議論するのも面倒なので、体調が悪いとか資格の勉強が忙しくなったとか、何か適当な理由を伝えたと思う。その時に経営者からは、松下幸之助の本に書いてあるような立派な人生訓と一緒に、「自分に甘えるな」といった意味不明な説教を受けたことは覚えている。「違法状態で働かせて文句を言わないバイトに甘えてるのは、お前だろう」と言おうと思ったが、給料を払わないなどと言われたら面倒なので、適当に流した。
今思い返しても笑える話だが、このなんとも恥ずかしい経営者は、冒頭の記事の経営者とはさぞかし話が合うに違いない。これが自分の唯一のブラック企業(?)での勤務経験だ。
うつ病になって自殺する社員が出るような真っ黒な会社と比べれば、自分のバイト先は薄いグレー程度の企業かもしれないが、ブラック企業で働く人にファイナンシャルプランナー(FP)としてアドバイスしたいのは、「すぐに辞めろ!」ということだ。ブラック企業で働き、精神的に追い詰められて一度うつ病になってしまうと、その後の人生でさまざまな不利益が発生するからだ。
例えば、生命保険や医療保険ではうつ病の履歴があると、加入はかなり厳しくなる。保険料が割高になったり、保障額が少なくなったり、あるいは入れなくなってしまうことも珍しくない。そして何より、住宅ローンが組めなくなる可能性もある。住宅ローンを組むときには団信(団体信用生命保険)という生命保険に入らないといけないが、うつ病を患っていると入れない。つまり、結果として住宅ローンを組めないので、家を買えないということになる(「フラット35」は団信が任意だが、団信なしのローンは当然危険だ)。
身近にうつの人がいないとわからないかもしれないが、うつになった友人から詳しく話を聞くと、「体力の消耗は寝ていれば回復するけど、うつで精神的に消耗すると、何もしなくてもどんどん悪化する」のだという。話を聞いていてつらかったのは「昔は嫌なことがあっても全然気にしない性格だったのに、今はちょっとしたことでもすごいショックを受けるというか、精神的なダメージに極端に弱くなったような気がする」というものだ。
●健康でいることが、一番お金がかからない
FPとしてお客様へ伝えるアドバイスは、将来にわたって元気で健康に働く、つまり安定して収入を得ることが大前提となる。その逆に、極端なことを言ってしまうと、亡くなってしまえば生活費もかからず、残された家族には保険金や遺族年金も出る。一方、病気で働けない、つまり生きているのにお金がない状況は一番厳しい状況だ。
ブラック企業で働き、精神的に追い詰められているのであれば、うつ病になる前に辞めたほうがお金もかからず、次の職場でもすぐに働ける分、一番マシな選択肢だ。
人間には現状維持バイアスといって、環境を変化させることに強い抵抗・不安を感じてしまう傾向がある。
「次の職場は、もっとひどいかもしれない」
「この不況のご時世に自分から辞めた経歴なんて、転職活動では不利になってしまう」
「今の職場はブラックだけど、少なくとも食えるだけの給料はもらえている」
と、どんなにひどい職場でも、今の環境を肯定してしまう状態だ。
このような抵抗・不安を感じること自体は決しておかしくはないが、「今も地獄、環境を変えるのも不安」と板ばさみ状態で逃げ場がなければ、さらに精神的に追い詰められてしまうに違いない。うつ病が増えている背景は、このような現状維持バイアスが不況によってさらに強められているのが原因ではないかと思う。
●現状維持バイアスから抜け出すためにやるべきこと
では現状維持バイアスを弱め、精神的に楽になるにはどうしたらよいのか? FP的なアドバイスをすると、「環境を変えても生きていけるんだ」と楽観的に思える具体的な根拠を探してみることだ。
例えば、転職をしてうまくいっている人の話を聞く。これは自分と似た環境にいる人ほど参考になる。逆に失敗した人の話を聞いてみるのもいい。失敗してもこの程度か、と安心できる材料となるだろう。生活コストを低く抑えたり、不用意な借金をしないことも「最悪フリーターでも食っていける」と楽観的になれる根拠として、現状維持バイアスを弱める。いざというときに頼れる家族や友人、パートナーと仲良くしておくのもセーフティネットになるだろう。もちろん、可能であればしっかり貯金をしておけば、心の安定度はまったく異なる。
世の中には世帯年収が1000万円近くでも破綻する家庭はある、と聞いたら驚くだろうか。収入が高いため、家計にブレーキをかけていないとそのような事態が起こる。それなりの家を買って、それなりの車に乗って、子供には可愛い服を着せて、学校は私立で、お小遣いは月に7〜8万円は使って、と極端な贅沢をしなくても、生活レベルが全体的に上がってしまうと、ちょっと収入が下がっただけで支払いができなくなってしまう。所得が多くても破綻する理由はここにある。
逆に言えば、収入が低めでも支出を低く抑えておけば家計は安定する。この状態で運良く収入が増えれば、貯金を急激に増やせるので、家計の安定度はさらに上がる。
生活コストを下げて健康的に暮らす、そして環境が変わっても生きていけることをより具体的に確認しておく。こういった対策を事前に打っておけば、間違ってブラック企業に入ってしまっても、あるいはまっとうだった勤め先が業績悪化でブラック企業に変わってしまっても、安心して辞めることができるだろう。そして、ブラック企業を辞める人が増えれば、世の中からブラック企業は減っていく。
酷なことを言うようだが、ブラック企業で我慢して働くのもまた、ブラック企業が存在するひとつの原因になっているということを忘れないでほしい。
(文=中嶋よしふみ/シェアーズカフェ・店長 ファイナンシャルプランナー)
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