町山智浩氏に聞く“日本人の知らないアメリカ”
#インタビュー #町山智浩
町山 ええ。というかむしろ、アメリカの「インターネットミーム」(ネット上で広がるネタ)は日本の比ではないです。失言からわずか数分以内にツイッターを埋め尽くさんばかりに拡散するし、失言をもとにしたコラ画像やMAD動画も大量に作られます。最近は特に、世間が失言で大騒ぎしすぎなんですよね。でも逆に、政治家の言葉は、キャッチフレーズになった場合は大きな力を持つんです。
──オバマ大統領の「Hope」や「Change」みたいに。
町山 そのワンフレーズで国が動いちゃう。日本でもかつて「小泉劇場」なんてのがありましたけど、アメリカはもっと極端。ワンフレーズ・ポリティクスの国だから、この本でも政治ネタが非常に多くなってるんです。
──お話を伺う限り、ネタには困らない感じだったんですね。
町山 ネタよりもオチで苦労しましたね。僕は、コラムってオチがなきゃいけないと思ってて、最後で笑えない原稿になったときはすごい罪悪感が……。どうしてもいいオチが浮かばないときは、娘に原稿を見せて考えてもらったり、ツイッターで「オチがなくて苦しんでまーす」ってつぶやいてみたり。
──そうやって誰かのオチが採用されたケースもあるんですか?
町山 ええとね、かみさんが考えたオチは使わせてもらいました。ペッパー・スプレー(Pepper spray)っていうトウガラシの辛味成分を噴射するスプレーが問題になってるっていう話で。
──あのオチは奥様の案だったんですか!(気になる方は、お手に取ってご確認を)
町山 あと、オチとは関係ないんですけど、文章だけだとどうしても発言者の雰囲気やおかしさが伝わらないところもあって、そこは澤井健さんのイラストにずいぶん助けられました。
■「貧乏人に税金を使うな!」vs「金持ちに課税しろ!」
──『USA語録』は時に下世話な笑えるコラム集ですが、ほぼ同時期に書かれた『99%対1% アメリカ格差ウォーズ』は、よりジャーナリスティックにアメリカ社会に切り込んでらっしゃいますね。
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