ビジネスデーの来場者1,000人は多いか少ないか? “西日本最大級”「京都国際マンガ・アニメフェア」の課題
#マンガ #カルチャー
去る9月21日から23日まで開催された「京都国際マンガ・アニメフェア2012」。京都市が「西日本最大級の総合見本市」と銘打って開催したこのイベントは、3日間で合計2万3,800人の来場者を数えた。うち、商談を目的としたビジネスデーの来場者は1,000人。開催から1カ月あまりを経て、イベントの成果を京都市に聞いた。
声優・水樹奈々の平安神宮奉納公演などファンに向けた訴求力の高い企画が盛り込まれた今回のフェア。一方で、主催する京都市が目指したのは、ビジネス面での成果だ。京都の企業が製造・販売している製品と、マンガ・アニメをコラボした商品を生み出すことにも、期待がかかっていた。
そうした背景の下、ビジネスデーには主に東京からマンガ・アニメのコンテンツを保有する企業が多数出展した。ところが、実際に取材した雰囲気では、具体的な商談に至っている様子は少なかった。ほかのビジネス主体のイベント、例えば、世界規模の恒例行事となった「東京国際アニメフェア」のビジネスデーは、出展する側に売り込もうとする意志が強く感じられる。来場者も同様で、何か新たなビジネスはないかと、それこそ目を皿のようにして探しているものだ。それに比べると、どうもビジネスの場としての雰囲気が薄かったことは否めず、少し拍子抜けである。こうしたビジネスデーの状況を、京都市はどのように考えているのか。
「正直、物足りなさはあります。ビジネスデーの来場目標が1,000~2,000人でしたので、想定していたギリギリの数でした。何よりも、来場した京都の企業は、キャラクターとコラボした商品を具体化するためにどうしたらよいか、わかっていない印象を受けました。そうした点は、改善をしていかなければならないと考えています」
と、京都市産業観光局産業振興室の草木大さんは話す。フェア開催前には、コラボ商品の開発を考えている企業向けに事前商談会も開催されたが、まだまだどのような形で具体的に話を進めていくか戸惑いが見られたようだ。それでも、フェアでは15種類のコラボ商品が展示、販売された。京都市では初回にもかかわらず多数の商品が開発できたことを肯定的に捉えており、これを継続的に販売していくための準備を進めているという。
初年度ゆえに戸惑いもあったが、先行きが明るいのは、京都市の担当者が「大成功!」と諸手を挙げるのではなく、改善すべき点を正確に把握していることだ。フェア会場で展示、販売されたコラボ商品を先行事例として使い、キャラクターを用いた商品開発の方法、商談のポイントなどが共有されれば、ビジネスデーはさらに密度の濃いものになっていくだろう。京都市の門川大作市長は、3年は継続して開催する意向を示しているが、幸いにも水樹奈々効果もあり2万を超える参加者があったことで、来年はナシとはならなそうだ。「西日本最大級」を謳うこのフェアが、京都の秋の風物詩として定着していくことを期待したい。
(取材・文=昼間たかし)
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