「自分はハッピーエンドのつもりでいた」脚本家・虚淵玄が語る『魔法少女まどか☆マギカ』の未来
#映画 #アニメ #インタビュー
──今回の劇場版では、ストーリーはそのままに、画作りにすごく凝っていた印象です。
虚淵 この作品を劇場版にするという時に、テレビ版から脚本を再構成しようという話も当然ありました。ただ、やはり物語の進行上、テレビ版から構成を動かすことはできないということになったんです。オープニングの挿入や(魔法少女の1人・暁美)ほむらの回想も、ここからは動かせないだろう、と。
──すでにテレビ版の時点で、構成として完成されていたということですね。そんな『まどか☆マギカ』のテーマというのはなんだったのでしょうか?
の「祈り」を肯定する本作。(C)Magica Quartet/
Aniplex・Madoka Movie Project
虚淵 『まどか☆マギカ』は、「魔法少女もの」というお題の前提として、「祈り」(=願い)を意識しています。今作のテーマは、「少女の祈りを世界が良しとするか否か」という点です。少女の祈りを突っぱねて、ただただ無情に運命が転がっていくだけの世界が、(彼女たちの)祈りを肯定する世界に切り替わる物語にしたいな、とは思っていました。つまり、『まどか☆マギカ』は「魔法少女」というジャンルを全肯定する作品にしたかったんです。
■作品はエンターテイメントがすべて
虚淵氏はこれまでも、明示的な「全肯定」を与える物語ではなく、むしろ「無情に運命が転がっていくだけの世界」を背景とした作品を多く手がけている。元々、有名アダルトゲームメーカーで18禁ゲームの脚本を担当してきた氏の描く物語は、主要キャラが容赦なく殺されたり、複雑に張り巡らされた因果の糸に絡めとられていくような重厚な展開で知られていた。それは氏がシナリオを担当してカルト的人気となった18禁ゲーム『沙耶の唄』や、近年テレビアニメ化された『Fate/Zero』(原作)などにも通底している。それでは、虚淵氏が物語を作る上で心がけていることとは──
──新作も今後公開されるとのことでしたが、『まどか☆マギカ』はすでにコミカライズに加え、スピンオフであるマンガ版『かずみ☆マギカ』『おりこ☆マギカ』(共に芳文社)など、かなり多角的に展開されています。こうしたスピンオフ作品は劇場版新作とはかかわってきたりしないんでしょうか?
虚淵 しないですね。
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