“アイドル戦国時代”の懐の広さを垣間見る──『インディーズ・アイドル名鑑』
#アイドル #本
そんなインディーズ・アイドルたちを総勢208人も一気に紹介しているのが、この『インディーズ・アイドル名鑑』(河出書房新社)。パラパラとページをめくってみると……それなりにアイドルシーンに興味を持っているつもりのボクでも、ほっとんど誰が誰だか分からないッ!
そして、「アイドル」にとってかなり重要なステータスのひとつであるハズの顔面偏差値も「メジャーなアイドルよりも遙かにカワイイよ!」という子から、「コレでアイドルになろうとは……アンタ、どういうつもりだ!?」と説教したくなるレベルまで公立中学の生徒並みに幅広く、現在のアイドル業界の裾野の広さを実感せずにはいられないのだ。
さて、この『インディーズ・アイドル名鑑』。208人ものアイドル(一応)を紹介はしているものの「この子はこういうグループでこういう活動をしていて……」みたいな細かい解説は一切ナシ。女の子ひとりにつき1ページ、白バックのスタジオで撮影された写真が1枚だけ掲載されており、隅っこに、申し訳程度に名前とグループ名が表記されているだけ。ホント、カタログのようにアイドルちゃんたちが羅列されているという編集になっている。
聞いたこともない、しかも顔面偏差値もビミョーなアイドルのグラビア(しかも基本、非エロ)を解説もナシで延々見せられて面白いのかいな? という気もするが、ひとくちに「アイドル」といっても本格派からイロモノまで、従来のアイドルという枠には収まりきらない衣装やコンセプトで多種多様に進化したアイドルちゃんたちの「なんとかこの1枚の写真で自分のアイドルとしての魅力を伝えよう!(そんで売れたい!)」という気合いがビンビンに伝わってくるグラビアは、なかなかに見応えがあって面白いのだ(「最ブス・アイドルを探せ!」的な見方をしても相当楽しめるけど)。
それにしても、必ずしも顔面偏差値が高くなくても、スタイルがよくなくても、コンセプトやインパクト勝負で「アイドル」と言い張っている子たちが、今の日本にはこんなにいるのかと……(もちろん直球勝負してる子もいっぱいいるけど)。で、そんな子たちにもそれなりにファンがついて、愛されているという懐の広さが現在のアイドルシーンの面白さともいえるのではないだろうか。
しかしこの状況、オジサン世代としては若干90年代のバンドブーム・イカ天ブームを思い出さずにはいられないのだ。演奏力や楽曲以上に衣装や珍妙なパフォーマンスが注目を集め、なぜか水泳選手の格好をしたバンドや、歌舞伎メイクで決めたバンドなど、ワケの分からないヤツらが次々に注目されては消えていったあの時代。もちろん、そんな中から後世に残るようなガチで実力のあるバンドたちもたくさん輩出されたので、今のブームが過ぎた後、アイドルシーンがどうなっていくのかというのは楽しみではあるのだけれど。
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