フランス映画界の鬼っ子パスカル・ロジェ監督が描く、本当の“悪魔”『トールマン』の正体とは……!?
#映画 #インタビュー
自分が親になることを自覚しながら撮った作品でもあるんだ」
ロジェ ボクの作品をクロージングに選んでくれて、とても光栄に思うし、同時に寂しく思うよ。ボク自身、街の小さな映画館に毎日のように通いながら育って、映画監督になったわけだしね。ヨーロッパにも、いろんな個性的なプログラムを組む小さな映画館がたくさんあったよ。もちろんDVDはとても便利だけど、街の小さな映画館はボクが育った場所でもあり、そういう空間が消えていくことはとても哀しいよ。ハリウッドの大作映画ばっかり上映している大きなシネコンより、ボクは小さくても個性的な映画館が大好きなんだ。ボクは思うんだけど、デジタルとアナログの両方あって、選べればいいのにってね。ボクは今まで35ミリフィルムで撮っていたけど、『トールマン』からデジタルにしたんだ。デジタルにもいい面がいろいろあることが分かったよ。でも、フィルムが持つ独特の質感は棄てがたい。作るほうも観るほうも、作品によって選べればすごくいいのに。パリでも2年後に映画館はデジタルへ完全移行することが決まっているんだけど、地方はすでにデジタルへ移行していて、デジタル対応できない劇場は、もう上映できなくなってしまったんだ。デジタルかアナログか、どちらかしか残さないのでなく、どちらもあって好きなほうを選べる。そんな社会が、本当に豊かなんじゃないかなとボクは思うよ。
(取材・構成=長野辰次)
『トールマン』
監督・脚本/パスカル・ロジェ 出演/ジェシカ・ビール、ジョデル・フェルランド、ウィリアム・B・デイビス、スティーヴン・マクハティ
配給/キングレコード 11月3日(土)より、シアターN渋谷ほか全国順次ロードショー
(c) 2012 Cold Rock Productions Inc., Cold Rock Productions BC Inc., Forecast Pictures S.A.S., Radar Films S.A.S.U., Société Nouvelle de Distribution, M6 All rights reserved
http://the-tallman.com
※シアターN渋谷では、『トールマン』公開記念としてパスカル・ロジェ監督の大ヒットホラー『マーターズ』を10月27日(土)〜11月2日(金)モーニングショーとして上映。また、『トールマン』の上映にあたり、「とおる」という名前の人は入場料が1000円に(証明書持参のこと)。
●パスカル・ロジェ
1971年フランス・コートダジュール生まれ。ダリオ・アルジェント監督に憧れ、パリの映画学校へ通う。警備員の仕事をしながら、イタリアンポルノの現場で撮影技術を習得した。『ジェヴォーダンの獣』(01)のメイキングを担当した後、『MOTHER マザー』(04)で長編映画監督デビュー。監督第2作となる『マーターズ』(08)のR指定問題で物議を醸し、一躍話題のフィルムメーカーとなった。新作『トールマン』は『マーターズ』以前より温めていた企画で、封切りと同時にフランスでは大ヒットを記録。敬愛するダリオ・アルジェントがプロデュースする作品を現在準備中。
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