芸術的格闘技“シラット”による映画革命だ! ジャカルタ発のアクション大作『ザ・レイド』
#映画 #インタビュー
最強武術シラットとの出会いによって世界進出を果たした。
伝統芸能が息づく熱帯の国・インドネシアで1000年以上の歴史を誇る芸術的格闘技がある。それがシラットだ。殺傷能力を高めた軍隊式シラットをベースにしたローコンバットは世界50カ国で特殊部隊、警察、ボディガードなどのセキュリティー機関に採用されていることからも、いかに実用性の高い格闘技であるかが分かる。このシラットを全面的にフィーチャーしたインドネシア発の新感覚アクション大作が『ザ・レイド』。すでに全米900館で公開され、ハリウッドリメイクや続編製作が決定している大注目作なのだ。
シラットのプロ格闘家であり、本作のコリオグラファーも兼ねているのがインドネシアのアクションスター、イコ・ウワイス。イコ扮するSWAT部隊がスラム街にそびえる高層マンションを根城とする麻薬組織を一網打尽にすべく、強制捜査(raid)するというもの。だが、麻薬組織が武装して待ち構えていたため、マンションの住人たちを巻き込んでの阿鼻叫喚劇がノンストップで繰り広げられる。シラットに魅了され、本作のメガホンを取ったのはイギリス出身の新鋭ギャレス・エヴァンス監督。古今東西の娯楽作の要素を巧みに取り入れた『ザ・レイド』の舞台裏について、来日したエヴァンス監督が語った。
──最近のハリウッド映画はCGに頼った作品がほとんど。プラッチャヤー・ピンゲーオ監督の『マッハ!』(03)や『チョコレート・ファイター』(08)以降、もう新しいアクション映画は現われないかと思っていましたけど、インドネシアからこんなにも血湧き肉躍るホットな作品が登場したことに驚きました。
エヴァンス サンキュー! 確かにその通りだね。最近のハリウッド映画はCGばっかりになってしまったよね。ボクらが同じようにCGを使った作品を作っても、ハリウッド大作には到底かなわない。それでボクらはあえて後ろに後退するというか、原点回帰を目指したんだ。ボクが子どもの頃に夢中になって観ていた1960〜70年代の映画のことを思い出したんだ。あの頃のアクション映画にどうしてあんなに夢中になったのかあらためて考えたんだけど、カメラワークや編集の刻むリズムがすごく良かったことに気づいたんだ。そうだ、リズム感のあるアクション映画を作ろう! そこからボクらの映画製作が始まったんだよ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事