トヨタの下請けいじめ、ヨイショ番組…すべては章男社長の面子のため
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トヨタの下請けいじめ、ヨイショ番組…すべては章男社長の面子のため – Business Journal(10月19日)
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『トヨタ、周囲をイエスマンで固める「章男社長ぼんぼん経営」の実態』
最近、トヨタ自動車の下請け企業が困り果てている。豊田章男氏が社長になって業績が急回復したことを印象付けるため、部品メーカーに「円高協力金」という名の無理な値引き要請をしているのだ。トヨタの下請け企業には長年トヨタと付き合い、売上高が数百億円の大きな会社も多いが、こうした譜代の下請けメーカーの業績が悪化し始め苦しんでいる。
実は、この構図こそが、これまでのトヨタおよびトヨタ系列になかったものだ。現場を知らない左翼系の記者や評論家は「トヨタの下請けいじめ」と気安く書いてきたが、これまでのトヨタの経営方針は下請けとの共存共栄が大原則であった。
例えば、10円のコストダウンをすれば、5円ずつをトヨタと下請けで分かち合うシステムだった。そのコスト削減のための指導プロセスの厳しさゆえに、「トヨタが下請けをいじめている」といわれたが、これはいわば「愛の鞭」であって、トヨタの「特訓」についてくることができたメーカーは筋肉質になり、他メーカーからの仕事も増えて業績が向上した。
しかし、今は、指導プロセスがない一律の値引き要請である。しかも章男氏のメンツのために、である。これでは「収奪経営」といわれても仕方ない。すでにトヨタ系列の結束は綻び始めている。
●トヨタ東北にしわ寄せ
こんなこともあった。東日本大震災直後、日産自動車のカルロス・ゴーン社長がエンジン生産の福島いわき工場を従業員激励のために訪れ、それをテレビが取り上げたが、それに嫉妬したのが章男氏だ。
「章男社長も東北工場に行っていましたが、自分が取り上げられないことに腹を立て、後で広報部員に自分が東北で陣頭指揮している写真を配らせました」(在名古屋の経済記者)
「自分がヒーローになりたい病」なのである。
以来、トヨタでは言いなりになるテレビ局と御用記者を使って、トヨタが東北復興の中心にいるような番組づくりに協力してきた。実際には「コストの高い東北で無理に生産を増やそうとしているので、その結果、下請けへの値引き要請が強まったり、外国産部品の比率が高まったりしています。トヨタの東北工場は、本当は重荷となって、あちこちにしわ寄せが行っているのが実態です」(部品メーカー役員)。
最近でも御曹司の暴走により自動車業界各社が迷惑を被った「事件」がある。3連休の初日の10月6日、日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)が中心となって「お台場学園祭」という催しを、東京・お台場の日本科学未来館などで開催した。今年は2年に1度の東京モーターショーの裏年であり、代替イベントとしてクルマ離れが進む若者に少しでも振り向いてもらおうと企画したのだが、これも章男氏の暴走から生まれたものである。
●自動車工業会でも我田引水
ある業界関係者は、
「自工会の年間スケジュールにも入っておらず、予算すら取っていなかったのに、5月下旬に章男氏が自工会会長に就任してから、急遽やることが決まりました。実行委員会ができていますが、それは形だけで、結局、豊田章男さんが自分の趣味でトヨタのスタッフを使って開いたイベントです」
と指摘する。
実際、主催する「お台場学園祭2012実行委員会」は委員長が自工会で、表面的には委員会で合議する形を取っているが、実質的な運営はトヨタの宣伝子会社トヨタマーケティングジャパン(TMJ)とその意向を受けた電通に丸投げだった。TMJは、章男氏の肝いりプロジェクトとして宣伝部を解体、新設した会社だ。宣伝は章男氏の「直轄領」なのである。
予算化されていない突然の出費など、対応に四苦八苦したメーカーもあった。「業界団体のトップとして業界全体への配慮が欠け、トヨタの我田引水ではないか」(前出関係者)といった指摘もあった。
経営者に限らず、政治家にも3代目が多い、自民党の安倍晋三新総裁は岸信介元首相の孫で、麻生太郎元首相も吉田茂元首相の孫だ。ほかにも3代続けて政治家は多い。
3代目が悪いというわけではない。封建時代と同じように、重責を担う役職を能力に関係なく世襲していくシステムに問題がある。日本社会全体がなんとなく変な雰囲気で、活力を失い始めていることと無縁ではないだろう。消費者や有権者は、「世襲」という問題にもっと関心をもつべきではないか。
(文=井上久男/ジャーナリスト)
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