コンシューマーゲーム信仰と嫌儲思考がゲーム業界を滅ぼす!?
#ゲーム
『怪盗ロワイヤル』。
ソーシャルゲームの勢いが止まらない。9月に開催された、毎年恒例の世界最大規模のゲーム見本市「東京ゲームショウ2012」は、出展社数209社、来場者数22万3,753人と、過去最多となった。華やかな数字が喧伝される一方で、ゲーム業界の先行きは不透明だ。その中で、一際目立つのがソーシャルゲームである。今回のゲームショウでは、出展の7割がソーシャルゲーム関連で占められるまでになった。
もはや、ゲーム業界の主流となった感もあるソーシャルゲーム。現在のところ、ほとんどのゲームがカードバトルのスタイルで運営されている。今後、ほかのジャンルへの展開や技術革新が進めば「バブル」と呼ばれる状況から、安定成長へと転換することができるだろう。しかし、そこに至るには、まだ大きな壁が立ちはだかっている。コンシューマーゲームへの篤い信仰と、ユーザーと開発者の双方が持つ「嫌儲」の意識が、それだ。
月々の稼ぎの中で、娯楽に費やせる金額が減少している中で、コンシューマーゲームの参入障壁は高くなっている。ファミコン時代のような「ゲーム機ならば、これが主流である」という状況がなくなり、据置型ゲーム機から携帯ゲーム機まで、さまざまなものが乱立している。限られた小遣いの中で、多くのゲームを購入して楽しむことは困難だ。それに、長い時間を費やして遊ぶスタイルも、もはやコアなユーザーを除いては敬遠されるようになった。誰もが持っている携帯電話で手軽に遊ぶことができるソーシャルゲームの普及は、社会状況を考えれば自明の理といえる。ソーシャルゲームは、これまでとは違うユーザー層、あるいは、極めてライトなユーザー層を取り込むことに成功しているのだ。
ところが、既存のゲームユーザーの中には、いまだにコンシューマーゲームへの「信仰」が根強い。そして開発の現場でも、それは同じく信じられている。大手開発会社のゲームプロデューサーは語る。
「新入社員にコンシューマーゲームとソーシャルゲームと、どちらに行きたいかを聞くと、ほぼ間違いなくコンシューマーゲームを選びます。やはり、コンシューマーゲームがゲーム業界の頂点であるという意識は根強いです」
ゲームユーザーのコンシューマー信仰を最も如実に表しているのは、既存のゲーム情報誌だ。例えば、もっとも権威のあるゲーム情報誌「週刊ファミ通」(エンターブレイン)で、ソーシャルゲームが扱われることはほとんどない。増刊枠でソーシャルゲーム専門誌は発行されているものの、本誌やオフィシャルサイトでソーシャルゲームが扱われることはほぼないのが実情だ。普段目にすることのできるゲーム情報誌やサイトで何かとスポットを浴びることができるコンシューマーゲームに対して、ソーシャルゲームは日陰者のような扱いなのだから、あえて選択する者が限られるのはよくわかる。だが、もはやコンシューマーゲームに身を投じてもスポットライトを浴びることができるとは限らない。
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