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富も名声も手に入れたはずが……売れっ子文化人・姜尚中が抱える複雑な家庭問題

 同じような批判は在日コリアンからも出ているというが、姜はこう反論している。

「拉致を解決するためには、北朝鮮の核問題と、日朝間に山積みされている日朝平壌宣言の三点をパッケージにして一挙に解決するしかありません。それはずっと主張してきたことです。私は変わっていません」

 この記事は、姜尚中の思想的な問題を問おうというのではない。在日コリアン初の東大教授になり、マスコミでもてはやされ、『悩む力』(集英社新書)がミリオンセラーになるなど、華やかな外向きの顔とは別に、家庭では複雑な問題を抱えているというのである。

 2009年6月、千葉県流山市の住宅街で死亡事故が発生した。姜の長男が自殺したのである。

 長年の引き籠もり生活の末であった。母親はその心労のためか新興宗教に入信したという。

 姜はこれまで長男の死について言及したことはない。

 テレビで売れっ子になるにつれて、姜の家には脅迫状が次々来るようになった。小学生だった息子はそれに苦しみ、家で暴れるようになったという。高校生になって引きこもり、母親と怒鳴り合い、テレビ出演中の姜が慌てて帰ることもあった。

 だが姜は、長男の死は自殺ではなく病死だという。生まれたときから「神経のインパルスが欠落していた」ため、長くは生きられないことを知っていて、哲学書などを読み、最終的な死因は「呼吸困難だったんじゃない?」と話す。

 長男の死を公表しなかったのは? と問われて、

「隠していたわけではない。自分の不幸をわざわざ人には伝えないでしょ? 僕が言いたいのは、魂は生きているということ。肉体的にはなくなっても魂は生きているし、妻にとっても同じです。そして息子の死があったから、僕は『悩む力』が書けた。これは息子との合作です」

 と語っている。

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