森永卓郎になりたかった金子哲雄が、秘かにしたためていた企画
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森永卓郎になりたかった金子哲雄が、秘かにしたためていた企画 – Business Journal(10月3日)
(集英社)より
『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ)などに出演していた流通ジャーナリストの金子哲雄さんが、昨日2日午前1時18分、肺カルチノイドのため都内の自宅で死去した。41歳の若さだった。所属事務所であるオフィス・トゥー・ワンによると、昨年6月、体調不良を訴え、肺カルチノイドと診断された。その後も通院治療しながらテレビ出演などを続けたという。
実は私は、編集者兼ライターとして、2008年11月から金子さんにいくつか企画でインタビューを行ってきた。当時はまだ、『ホンマでっか!? TV』への出演で脚光を浴びる前、その頃の皆さんの知らない、金子さんのエピソードを紹介することで、本記事を追悼記事としたい。
金子さんに最初に会ったのは、月刊誌「宝島」(09年1月号)の特集『潮目が変わった』での食事情関係のインタビューだ。食事情に詳しい流通ジャーナリストを探しており、宝島社で以前に新書を出版していた金子氏にオファーすることになったのだ。
当時のオファーの方法は、氏のホームページ「Marunouchi Online(丸の内オンライン))の問い合わせ窓口からだった。金子氏の会社名も「一般社団法人 丸の内買物研究所」であり、ビジネス本のセオリーである「自らの信頼感を増すために丸の内や銀座といったキーワードを用いろ!」を地で行くようなホームページ名にしていたので、ギャグなのか本気なのか面食らった記憶がある。
取材オファーは快諾され、取材当日を迎えるとその午前中に「今日はどんな話が知りたいですか?」と金子氏から用意周到な電話がかかってきた。取材時間にはバイクで1人でやってきて、食事情に関するマシンガントークを繰り出した。舌足らずながらも(本人曰く逆に舌が長すぎるのだとか)時間一杯ネタを話しまくる金子氏に、同席した編集者とともにテレビメディア向けの新たなキャラクターの登場を感じた。数日後には、取材のお礼状と、サインを書いた著書セットが私のもとに届くという段取りのよさで、金子氏は気配りの人なのだと感じた。
取材の趣旨から離れていたが、商品を値切る話が面白く、「月刊宝島」の次号(09年3月号)で『日本で唯一の「値切りスト」金子哲雄が教える実践 値切りの5か条』という企画を行なうことになった。取材しているこちら側にどんどん着想が生まれる話しぶりで、記事は好評をよんだ。この取材は09年1月で、所属事務所オフィス・トゥー・ワンのスタッフが同席するようになり、メディアへの露出が増え始めた。
ご飯の「大盛りの大盛り」料金をねぎっていた金子氏
インタビューを終えて、数日後、「インタビューのお礼がしたい」と夕食を誘われた。当日はテレビ収録終わりで、御茶ノ水集合。一人で現れた金子氏は、こういった夕食でも店選びはいつでもリサーチしているようで、新しい、話題になりそうな店を選び、入店すると、店員と愛想よく話す姿勢が印象的だった。
いまから振り返って気になったのは、酒は飲めない体質だが大食いという点。「番組収録前には食事を控えるが、本来は大食いで、収録後はドカ食いをする」という話だった。この日も焼肉店だったにもかかわらず、「(注文した)ご飯の大盛りをさらに大盛りにしてくれ」と店員に依頼し、店員が戸惑っていたのを思い出す。しかも、ご飯の大盛りの大盛りを注文したにもかかわらず、金子氏は料金は「大盛り」料金だけにできないかと交渉をはじめたことも、店員としては戸惑う原因だったようだ。もちろん、そのご飯の大盛りの大盛りをたいらげていた。
会食中には、オフィス・トゥー・ワンの所属になった理由として、エコノミストの森永卓郎氏の線を目指しており、森永氏が所属するオフィス・トゥー・ワンと契約することが望ましかったという話をしてくれた。また、テレビ局のADさんに親しみを持ち、印象をよくしてもらおうと、大人のおもちゃ「TENGA(テンガ)」を大量購入し、男子スタッフに差し入れしているという、これまたギャグなのか本気なのかわからない話もしてくれた。
その後も何度か出版企画について打ち合わせの機会をもったものの、テレビ露出を重視するようになり、実現することはなかった。その後はテレビの仕事が優先になり、何度かコメントをもらうだけの関係になっていった。
最後に、当時、金子哲雄氏がやりたいと、話をつめていた企画書の一部を紹介しよう。テレビメディアで輝く前に、どんな企画を考えていたかは、多くのビジネスマンにとっても参考になるだろう。合掌。
【金子哲雄氏がテレビメディアで輝く前にしたためていた企画書の一部】
『“非営利特殊法人 グラビアアイドル再生機構”
~グラビアアイドルの再生策から、企業再生の術を学べ~』
企業再生、リ・ブランディングがテーマ。
約1万人いるグラドル。
メディアに露出しているのは約1%の100人です。
残りの9900人は売れないで、売春に走るか、誰かの愛人になるかといった具合です。
賞味期限の短いグラドル業界において生き残るためには、いかにグラビアから他のジャンルにポジショニングを移動させるかがポイントとなります。
流通ジャーナリストである金子哲雄氏が、グラビアアイドルが再ブレークするための具体策をあげながら、企業再生に応用するといった企画です。
そこで、実際に売れないグラビアアイドルの事務所と協力し、実際に○○アイドルといったように、グラビアアイドル再生のための、付加価値化を進め、同時進行でドキュメントを追いながら、企業におけるリ・ブランディング、リ・ポジショニングなどを
やってみたいと思っています。
(文=松井克明/CFP)
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