「やっとR指定に出られた」“悪人”西田敏行が語る、北野映画と正義の秤
#インタビュー #アウトレイジ #西田敏行
――しかも西田さんが演じた花菱会若頭の西野は、最初はそこそこ穏やかそうに見えて、キレたときが本当に怖いという。
西田 ジョー・ペシみたいな芝居をしたいなと、いつも思ってるんですよね。急に怖くなる彼のあの感じを出したくて、どこかでそれを意識してましたね。
――ほかに印象深いセリフやシーンはありますか?
西田 僕が、(北野)監督演じる大友に対して、「コラァ、腐れ外道!」ってアドリブで言ったんです。それをとても監督が気に入ってくれて。「そうなんです、外道なんですよ。道から外れてるんですよ」って。道から外れるってどういうことなのか、みんなも考えてみてほしいなって思います。中国での反日デモで、強奪したり破壊したりすることにひとつのカタルシスを覚えている人たちも、一部見受けられましたよね。日本でも60~70年代に若者たちがヘルメットをつけて社会を破壊し続けましたけど、その破壊はどういうことだったのかを考えてほしい。その頃の僕らはちょうど、深作欣二監督の『仁義なき戦い』や高倉健さんの任侠映画を見ていたんです。学生闘争の時代にあれを見て、なんともしれない気持ちになって、思わず拍手をしたんですよね。健さんが悪い親分を斬りつけると、客席みんながワーッと拍手する。今は、あの感じと似た時代なのかなって思います。
――なるほど。そしてこの作品は、現代版『仁義なき戦い』でもあると。
西田 現代の『仁義なき戦い』と呼ばれることを監督はよしとしないかもしれないけど、時代は巡ってるなと。今若い人たちが欲している映画のひとつじゃないかなって思います。僕らも当時、そういう映画に飢えてましたから。見終わってスカッとする映画ですからね。
――この映画は前作に続き、「全員悪人」というキャッチコピーが印象的です。西田さんは、悪人とはどういう人を指すと思いますか?
西田 日本人らしい心理なんでしょうか、死んでしまうと善人に思えてしまう(笑)。この中で本当に悪いのは、生き残った奴らなのかもしれないですね。世間の良識の中で生きていても、「あいつ悪いな」って思う奴っていますもんね。ものすごく社会的地位もある人で、「でもあいつワルだよなぁ」みたいなのとか。
――いかにも悪いことをしていそうというか。
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