1枚3万円でも高すぎる! ソーシャルゲームイラストの適正料金はおいくら?
「今のところは、そこそこの実力があれば仕事の発注が途切れることはないでしょうから、修正を依頼しても断ってくるようなイラストレーターもいます。でも、pixivに次々と新しい描き手が登場していることから見ても、イラストレーターは徐々にダブつき始めていると思います。今は人気を得ているイラストレーターでも、5年、10年後に生き残っている人はわずかでしょう。職人に徹することができない人に、先があるとは思えません」(同)
職人であると割り切れば、ソーシャルゲームのイラスト制作は極めて割がよい。携帯電話やスマートフォンを通して見るものなので、塗りの部分も、複雑な色づかいよりも原色のほうが目立つ。つまり、作業を通常のイラスト制作よりもハイスピードでこなすことができるというわけだ。そのため、作業が効率化できることがわかっていけば、「超一流」以外のイラストレーターのギャラは下落していくと考えられている。
「イラストが1枚3万円というのは高すぎます。いずれは、1枚あたり1万円以下で、大量生産してもらう流れになるのではないでしょうか」(同)
今、有象無象のイラストレーターに求められているのは、筆者のような売文屋に求められていることと近い。原稿料が高かろうと安かろうと、一定のクオリティは保たなければならない。もちろん、原稿料が高ければ、それだけ熱心になるのは当然である。ならばと、原稿料が安いからと手を抜いたら、次から仕事はこなくなる。それにほとんどの仕事では、発注元の指示に従って書くのが当たり前だ。すべての仕事に自分の意見や意図を主張してなんていられない。そういうのは、文豪にでもなって「ぜひ、先生の玉稿を……」と依頼が来るようになってからやればよいことである。
アニメ・マンガ・ゲーム・ライトノベルといった消費されていくメディアの中で脚光を浴びるイラストレーターの立ち位置は、クリエイターではなく職人である。そのことを自覚できるか否かが、生き残りのカギだ。
(取材・文=昼間たかし)
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