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官邸前デモを総括!

「この社会情勢が続く限り、どこかでまた起こる」2カ月間の“お祭りデモ”とはなんだったのか? 

――組織化されていないグループの代表があのような形で首相面会を果たすとは、驚きました。しかも、その様子をすべて中継するなんて。

小熊 そういう前例を作ることは、大きな意味があると思っていました。短時間でしたが、大組織でもない民衆運動が首相を引っ張り出した例は、近代日本にはないし、世界的にもほとんどない。それは大きなことですよ。それにあれは、政府の側からすると、大きな先例を作った。これから先、例えばTPPの反対運動などが盛り上がったら、農協の全国組織の会長でなくても首相と会える、そういう先例がある、となるわけです。政治も官僚も、先例があるかないかで動きますからね。日本の政治に影響を与えたことは間違いない。

――それは、野田首相個人に対しても同じでしょうか?

小熊 野田さんは、あの場では表情を崩さずに無難なことを話していましたが、十分影響を受けていると思いますよ。この3~4カ月の間に民主党はもちろん、議会のいろいろな会派も脱原発に寄ってきて、大きな争点になった。資源エネルギー庁や電力関係の人たちは、首相面会なんて絶対にやらせたくない、首相と会うのは電事連の代表とか経団連の代表だけ、ということにしておきたかったはずです。そういう抵抗がある中で、会わざるを得ない状況になってしまった、というのはデモの成果です。

 また政治家というのは、意外と対面した人物に影響されるものです。街頭演説をすると、20分くらいで街の雰囲気や反応を肌でつかむそうですからね。あの面談で、いかにもごく普通の人から、「野田さんに期待していたのに、がっかりした。あんた男でしょ、官邸から出てきて会いなさいよ!」とか言われたわけです。今後、原発関連で重要な決断を下さなければならない時には、野田さんはあの顔がちらつくでしょうね。

――官邸前デモは、大飯原発再稼働を間近に控えた6月下旬から9月にかけて大盛り上がりとなり、10万人とも20万人ともいわれる人々が集まりました。ある種の“ブーム”ともいえるお祭り的な騒ぎでしたが、ここまで盛り上がった要因はどこにあるのでしょうか?

小熊 官邸前が注目されたのはすごく単純な話で、政治家や大手マスコミの政治部記者の目に入ってきたからです。2011年からデモは数多く起きていたのに、彼らはほとんど知らなかったので、今年の6月になって急にデモが出てきたと思ったらしい。それで一気に報道もされたから、急にブームが起きたように思われたんでしょう。実際には、去年からの積み重ねと連続の中で、官邸前デモが起きたのですけれどね。

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